In the name of love act24
エドワードは父親の顔を知らない。物心ついたころ、そこには母と自分しかいなかった。それはエドワードが成人するまで変わらなかった。母に男の影がなかったわけではない。エドワードが幼い頃一度は再婚の話が上がったが、まだ母親を独占したい年頃だったエドワードは断固として新しい父親の存在を拒み、いつの間にかその話は断ち消えになってしまった。
そして母は、エドワードが26歳の時に53歳という若さでガンで亡くなった。息子の将来を誰よりも心配しながら。寿命を縮めてしまったのは自分だろうと今でもそう思っている。例の盗作事件で世間から非難され、職を干され、呆然と過ごす息子を叱咤しながらも支え続けた母…。
今時シングルマザーなど珍しくもないが、その苦労と孤独はエドワードには計り知れないものがあったはずだ。だから、ケイトと付き合い始めた時に心に決めたのだ。彼女を幸せにし、守っていこうと。ろくな親孝行もできなかった母親の代わりに、妻になる人には決して寂しい思いはさせまいと誓ったはずなのに。
今、自分は再び母親と同じ孤独をケイトに突きつけようとしていた。
レイと離れることなどできない。では、ケイトは…?
頭の中は堂々巡りを繰り返し、結論の出ないままエドワードの足はアパートにたどり着いてしまった。
「おかえり、エディ」
今日は遅くなるかもしれないと言っていたのに、レイはきちんと待ってくれていた。
テーブルの上には五線譜ノートが散乱している。エドワードがいない間、レイは作曲に没頭しているらしい。ピアノはなくて大丈夫なのか?と訊くと、頭の中で音が鳴るから大丈夫だと言っていた。音楽のことはよくわからないが、一日に一冊のペースでノートを埋めていくその才能はかなりのものなのではないかと思っている。
「飯は、食ったのか?」
レイには何も言わないつもりだった。もちろん、アーサー・ギルフォードが接触してきた件も話していない。余計な心配をさせて、この笑顔を曇らせたくはなかった。
できるだけいつも通りに接しようと心がける。しかし、いつもの自分が思い出せない。
「うん。エディが作ってくれたスープ、美味しかった」
「そうか」
自分はいつも通りに振るまえているだろうか。レイに自分の内心を読まれないか心配で、つい、目を逸らしてしまう。
「早く寝ろよ。俺はシャワー使うから」
「うん」
身体を洗いながら、エドワードはただいまのキスをしていなかったことに気づく。特に約束して始めたものではないが、出かける前と帰宅時のキスは同棲を始めてからの習慣になっていた。それが今日は頭の中がケイトのことでいっぱいで、すっぽ抜けていたらしい。
レイがそのことに気がつかないはずはなく、レイがそれをどう思っているのかが気になった。
レイはぼーっとしていて、そういった細かい機微に鈍感そうに見えるが決してそうではない。むしろ、敏感すぎて傷つきやすい。そしてそれを相手にぶつけずため込むタイプだ。短い付き合いの中でもそれくらいのことはわかる。
「レイ、もう寝るぞ」
大して面白くもないテレビ番組を小さい背中をいっそう小さく丸めて、じっと見ているレイが何だか気落ちして見えたのはエドワードの後ろめたさがそう見せたのかもしれない。
ベッドに入ってから、レイの額に優しくキスを降らせる。ただいまのキスの代わりのおやすみのキスを、レイは喜んでくれたようだった。その日はめずらしく、ただ抱き合うだけの穏やかな夜になった。
次の日の朝、エドワードは焦げ臭い匂いで目が覚めた。
(火事か!?)
そう思い、飛び起きると隣にレイがいなかった。
その代り、キッチンからレイの慌てたような声が聞こえた。
「何やってんだ、レイ」
匂いのもとはキッチンからで、辺りにはもんもんと煙が立ち込めていた。
「うわ、バカ、何やってんだよ!焦げてるだろうが!!」
フライパンの上で黒い物体が煙を上げていた。もはや元の物体が何であったのか想像できない。キッチンには他にも切り口が茶色く変色したレタスなどが散乱していた。
推測するに、どうやらレイは朝食を作っていたらしかった。
「朝メシなら俺が作ってやるって。どうしたんだよ、一体…」
しょんぼりと身体を小さくして落ち込んでいる様子のレイが、手をぎゅっと握り込んだのを見て、その手が赤くなっているのに気づく。
「バカ、お前、火傷してんじゃねーか!早く冷やせ!!」
白く、ほっそりとした指が赤くなっており、痛々しい。
水道の水で火傷の部分を冷やしてやると、レイが震える声で言った。
「いつも、エディにしてもらってばっかりで。僕、何にも出来ないし…。朝ごはん作ってあげたいと思ったのに、やっぱ、ダメだった…」
レイには致命的に生活能力がなく、家事はいっさいエドワードが受け持っていた。それを特に苦に思ったことはないが、レイはそんな状況を後ろめたく思っていたらしい。
「バーカ。そんなこと、お前は気使わなくていいんだよ」
そう言って、ふと、これは昨日の自分の所為なのではないかと思い付く。
思い返せば昨日の自分は、レイに冷たい態度を取っていなかっただろうか。普段通りにと努めたつもりが逆に不自然な態度になっていた。それがこの行動の意味だとしたら…。
「悪かったな…」
エドワードの突然の抱擁にとまどうレイだったが、しばらくするとエドワードに身体を預けて安堵の吐息をつく。
「余計なことしてごめんね」
朝起きるのが苦手なくせにエドワードより早く起き、不器用なくせに料理をしてくれた。失敗はしたものの、レイの気持ちが伝わってくるようで、胸が苦しくなるくらいに嬉しかった。
愛してる、と何度も心の中で呟く。
このぬくもりを失うことなど考えられないと、エドワードはきつくレイを抱き締めるのだった。
〜To Be Continued…〜![]()
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コメント
おめでとう♪
新婚生活を楽しんでね♪
この小説を読む事が最近の楽しみになっています♪
私は絶対エド派だな♪
旦那様にもよろしくね♪
No:92 2007/09/24 20:43 | 星歐花 #xxmTR6YcURL[ 編集 ]
ありがとうございます!!
いらっしゃいませ、星さま♪
いや〜、本当にありがとうございます(*^。^*)
腐女子でも結婚できるんだな〜としみじみ。
理解のある旦那さまでよかったです。
「むしろ腐女子でよかった」と言ってました。
楽しいらしいです(何が…?)。
…おおっと、のろけてしまいました!!
私も星さんのイケメン小説楽しみです!!
クロウが主役…♪
かなた様の書くクロウがやたらとツボなれおんです☆
No:93 2007/09/24 23:22 | れおん #-URL[ 編集 ]
おめでとう!!!!!
結婚おめでとう〜
理解のある旦那様、ステキです!
新婚パワー炸裂でバリバリ更新していって!!!!!!
婚姻届かぁ・・・、わたし達は平日に届けに行ったのよ、そしたらその場にいた職員と周辺にいた一般の方から拍手を頂きましたよ。(恥かしかったー)
星さんに同じくわたしもエド派だわ!
No:94 2007/09/25 00:05 | ちゃとら☆ #-URL[ 編集 ]
ありがとうございます!!2
いらっしゃいませ、ちゃとらさま♪
温かいお言葉、ありがとうございます!!
私は婚姻届を警備員さんにお渡ししたんですが、やっぱり、「おめでとう」って言われました(*^。^*)
うちの旦那さまは本屋さんに行くと、自分の本と一緒に私のBL本も買ってくれる素晴らしい人です。表紙が半裸のメンズとかでもOK♪
みんなエド派だ〜〜〜☆
なんか、うれしいです〜〜〜♪
No:95 2007/09/25 00:16 | れおん #-URL[ 編集 ]
おめでとうございます(≧∇≦) ♪
ご結婚おめでとうございます♪♪
幸せな家庭を築いてくださいね(*^-^)
理解ある旦那さまで本当にうらやましいです><
私も同居して長い彼氏がおるんですが、一応BL好きは言ってるけど、喜んでくれないですよ(当たり前か…)
心広い人でいいな☆
それで、私なぜか22を飛ばして読んでました(@Д@;
なんでだろう…
今読んでそういうわけか!とw
ごめんなさい(≧ω≦*)
悪い女だなぁ…
負けるなエディ!
がんばれエディ!
No:96 2007/09/25 00:23 | 遠麗 #-URL[ 編集 ]
ありがとうございます!!3
いらっしゃいませ、遠麗さま♪
みなさまからの祝福のお言葉、感激です〜〜〜♪
幸せな家庭を築きます!!
そして立派な貴腐人になります!!
(オイオイ…)
わかりづらい小説でホント、スイマセン_(._.)_
そして、BLなのに女と××…。
アーサーはますます男を下げました(笑)。
No:97 2007/09/25 00:39 | れおん #-URL[ 編集 ]
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