Perfect Love act3
アーサーは去って行く二人の後ろ姿をただ見送ることしかできなかった。
彼女について知り得た情報はあの初老の男性が呼んでいた「レイ」という名前だけである。
「あれはデザイナーのユベール・ド・シノン氏ですね」
同じく二人の後ろ姿を見ていた秘書のロバート・ガルストンが言う。
「シノンとは、あの『CHINON』か?」
『CHINON』といえば近年経済的成長著しいファッションブランドである。元々は紳士服がメインのブランドであったが、女性向けのプレタポルテに進出してからはめざましい成長を遂げている。
アーサーがただものではないと感じたのも無理はない。
「では彼女はご息女か」
「いえ、シノン氏に子供がいるという話は聞いたことがありません」
「やけに詳しいな」
「あのカンパニーには興味がありまして勝手ながら独自に調べていました」
『IBC』のルーツを辿れば、第二次世界大戦前にアーサーの祖父が興した紡績事業から発展した企業である。ファッション関係は決して無関係の分野ではない。
「そうか…。いや、お前は優秀な部下だ。後で情報をくれ」
『ヴィクトリア』での視察を終えた道すがら、シノン氏についての情報を受け取る。
それによればシノン氏は経営者としても優秀で株価は安定。結婚歴も無く、勿論子供もいない。人格は極めて温厚。しかし最近、お気に入りのモデルと同棲しているという。
一瞬あの少女のことかと思ったが、すぐにその考えを打ち消す。清廉な彼女に愛人などという言葉は似合わないし、モデルなどという自己主張が求められる仕事をしているようには見えない。
ガルストンにさらなる調査を任せ、アーサーは車窓へと目を向ける。
低く淀んでいた雲はいつのまにか消え、突き抜けるような晴天が広がっていた。一点の曇りもなく広がる蒼穹をこんなにも美しいと感じたことはない。往路のアーサーは天気の良し悪しなど露ほども気にはしなかったのに、復路の自分はまったく変わってしまったと苦笑するアーサーであった。
その日の夜はフランス外相主催のパーティーが開かれていた。招待を受けていたアーサーも正装に身を包み会場に姿を見せていた。
「まあ、ミスター・ギルフォード。お久しぶりね。お父様のお加減はいかが?」
早速声を掛けてきたのは、昔からギルフォード家と付き合いのあったご婦人である。
「お久しぶりです、ミセス・ガーフィールド。父は少しずつですがよくなってきているようです」
アーサーの若すぎるCEOへの就任の理由は父親の病気が原因でもあったのだが、実のところ体調は思わしくない。だがそんな情報を軽々しく夫人に話すわけにはいかないので、旧知の間柄であれ詳細を語ることは控えた。
「そう、それはよかったわ…。ところで今日はお一人なの?あなたのようなハンサムな殿方がお一人だなんてよろしくないわ」
「パートナーには縁がないようで、しばらくは独り身を楽しみたいと思っているところです」
実のことを言えば、名のある女性たちと華々しい自由恋愛を繰り広げているアーサーだったが、そんなことは億尾にも出さずスマートな笑みを浮かべて見せる。
「まぁ、もったいないこと。今日はとても美しいお嬢様がいらしてるのよ。声をお掛けになってみたら?ムッシュ・シノンのお連れの方なのですけど…」
シノンという名前にアーサーは反応し、内心、まさかという思いで視線だけで辺りを見回す。
良く見れば会場の人々の視線がある方向へと集中しているのがわかった。アーサーはその視線の先を辿り、あまりの偶然に瞠目する。
皆が注目するその女性はまさしく、つい数時間前にアーサーと衝突したあの少女だった。
〜To Be Continued…〜
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コメント
れおんさん!おはようございます♪
出勤前の時間!来てしまいました♪
いいですねぇ〜!!アーサーめちゃカッコイイ!!
貴族社会!!高級感あふれてていいですね♪
めちゃくちゃ羨ましいです!!
このゆったりとした静寂な独特の世界感♪羨ましいです!アーサーと女の子はどうなるんでしょうか??
期待に胸膨らませてまた明日読みたいと思います♪
No:4 2007/08/24 08:34 | 古田 #WGr3aBVIURL[ 編集 ]
おはようございます☆
朝からテンション上がってしまいました!!
速攻でお返事させていただきます!!
アーサーは「完璧な」男っていう設定なんです。タイトルのまんまなんですが。そんな「完璧な」男でもコントロールできないものがある…というのをタイトルに込めてみました。これ以上言うとネタバレになってしまうので続きをお読み下さ〜い♪熱中症に気をつけてお仕事がんばってくださいね☆
No:5 2007/08/24 09:01 | れおん #-URL[ 編集 ]
れおん様
さっそく、来てしまいました。ハイソな感じがいいですね〜。出だしが“女の子”とは、ちょっと意外。私としては、アーサーより、シノンの方にピピッとくるものを感じたのですが、この後、どうなってくか、楽しみに読ませていただきます。
No:268 2008/06/10 01:56 | シャンパンG #-URL[ 編集 ]
ぎゃぼーーー!!
いらっしゃいませ、シャンパンGさま♪
ダメですよ、こんな所に来ちゃ!!(゚Д゚;)ノ!!
駄文ですから読むと知能が低下します…(多分)。
シャンパンG様の素敵小説に比べたら、gdgdっぷりが泣けてきますが、多少の矛盾には目を瞑っていただきながら読んでください(涙目)。
もちろん、ウチのコはちゃんと付いてますから(何が?)
勘違いから始める恋です。もうちょっとでバレます。
ブロ友承認ありがとうございました!!
今後も末長くよろしくお願いしますね♪
No:269 2008/06/10 02:54 | れおん #-URL[ 編集 ]
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