恐怖のバクテリア〜バクテリア王国へようこそ〜

御厨鈴音(みくりやれおん)が勝手に作り上げた恐れるにたらぬ王国。小説とも呼べない駄文ばかりですので、読むときっと後悔します。そんなの嫌だ、という方と18歳未満の方、BLという二文字に嫌悪を感じる方は今すぐお逃げ下さい。
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御厨 鈴音

Author:御厨 鈴音
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Perfect Love act2

►2007/08/11 12:00 

 天使のように愛らしい美貌の少女にアーサーは時間を忘れて見惚れていた。
 完璧なラインを描くその頬はまだあどけなさを残し、バラ色に染まっている。まだ何が起こったのか把握していないのか、琥珀色の大きな瞳はじっとアーサーを見つめていた。長い睫毛をバサバサと上下させると、少女はその花びらの形をした唇を開き、ようやく声らしきものを発する。
「…ぁ……」
 次第に不安気にくもっていく少女の顔にアーサーは庇護欲に駆られて優しく問いかけた。
「君、どうしたんだい?」
 普段のアーサーを知る者が聞いたら卒倒しそうなほど甘い声だ。
 少女は急に落ち着かない様子になって、キョロキョロと辺りを見回している。
「コンタクトレンズが落ちちゃって……」
 今にも泣きだしてしまいそうなほど弱々しい声だった。
 それを聞いたアーサーは(なんとかしてやらねば…)という庇護欲に駆られ、一転して厳しい顔で取り巻きの男たちを睨みつけて言った。
「コンタクトレンズを探して差し上げろ」
 いつもの調子で命令を下すと、周囲の男たちはこぞって床を這い、捜索困難な紛失物を探しはじめた。
 その間、少女はアーサーの上に馬乗りになっていたのだが、彼女は自分がそんな恥ずかしい体勢になっていることにまったく気が付いていないようだ。
「お嬢さん、もう立てますか?」
 そんな少女の無防備さも好ましく思え、アーサーが苦笑して言うと、少女はようやく自分がどんな格好をしているのか気付いたようで、瞬時に頬を赤らめた。慌てて立ち上がろうとする少女に、貴婦人にかしずく騎士さながらに手を差し出した。
「どこか痛いところは?」
 問いに少女は視線も合わせられずに、ふるふると首を振る。
 その控え目な様子にアーサーは今まで出会ったどの女性にも感じたことのない感情を少女に感じていた。まともな会話など交してはいないが、彼女がとても純真で自分に媚びる気などないことがわかる。婀娜めいた態度で誘惑し、必死に取り入ろうとする女性たちに辟易していたアーサーには少女の初々しい反応が好ましく感じられた。
 アーサーが少女の名前を問おうと口を開きかけた時、
「レイ!」
 男性の声が響き、少女がビクリと反応する。
 声のした方向から、上品な出で立ちの初老の男性が近付いてきた。
「…ユベール……」
 どうやら連れがいたらしい。
 少女が安堵したようにほほ笑んでいた。
「探したよ、レイ。勝手に歩き回ってはいけないと言っただろう?」
 子供を咎めるようなその言葉に少女がしゅんとして首をすくめる。
「ごめんなさい…」
「無事ならばそれでいい。…それにしてもこれは一体何の騒ぎかね?」
 床にはまだ数人の男達が必死にコンタクトレンズを探していた。事情が事情とはいえ大の大人が床に這いつくばっている様はひどく滑稽な眺めだった。
 アーサーが経緯を説明すると、男性は笑って言った。
「それはすまなかった。もうやめていただいて結構だ」
 それを聞いて、床を這っていた男たちはホッとしたように立ち上がった。
「君に大変な迷惑をかけてしまったようだ、ミスター・ギルフォード」
 男性の堂々ととした風格のあるたたずまいに、アーサーはただものではないと感じた。自分を前にしても少しも気押されることなく平常心でいられる者はそういない。身に付けている物から推測しても、男性もかなりの社会的地位にある人間と思われた。
「いいえ。彼女に怪我がなくて何よりでした」
 アーサーの言葉に意味深な笑いを浮かべ、
「我々はこの後急ぎの用があるので、失礼するよ」
 男性は最後にもう一度丁寧に礼を述べて、少女と共に去っていった。
 アーサーには引き留める術もなく、ただ二人を見送ることしかできなかった。


〜To Be Continued…〜



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