In the name of love act3
やはり事態はガルストンの予言した通りになってしまった。
はじめはアーサー・ギルフォードの新しい恋人の出現に好意的だったマスコミも、レイがユベール・ド・シノンの愛人だったことや、美容整形疑惑、さらに男であることが明らかになると、一転してバッシングが始まった。
誰もが二人の関係を嘲笑い、罵った。次第にこのトピックは、ただのスキャンダルの枠を超えて社会的な騒動に発展しつつあった。しまいには、アーサーがCEOを務める『IBC』の株価の下落という事態まで引き起こしてしまったのである…。
アーサーは疲弊していた。
どこまでも付きまとい揶揄の言葉を浴びせてくるパパラッチ。しきりにレイとの仲を解消するよう求めてくる『IBC』の首脳陣たち。日々加熱するレイへのバッシング…。
対応しなければならないことは増えていくばかりで一向に事態が好転する兆しはない。
かといって、アーサーはレイと別れるつもりなどさらさらなかった。マスコミが面白可笑しく報じる記事はほとんどが事実無根であり、誹謗中傷の域に及んでいた。名誉毀損で裁判を起こしたいくらいだったが、そんなことをすればさらに騒ぎを大きくするだけなのは明らかで、マスコミに対してはほとんど打つ手がないというのが正直なところだ。このまま人々がこの話題に飽いて、事態が鎮静化するのを待つしかない。アーサーにとっては非常に屈辱的でしかないが、下手にマスコミに手を出して煽るようなことになるのは避けたかった。
先ほどレイに付けていたボディーガードから、レイが何者かから卵をぶつけられたと連絡が入っていた。犯人は捕まらなかったが、レイに怪我はないという報告を受けていた。多忙ではあったが、急ぎの案件もなかったのでアーサーは意気消沈しているだろうレイを慰めようと、彼の待つ自宅マンションへと急ぎ戻った。
レイはここ数日自分のアパートではなくセキュリティーのしっかりしたアーサーのマンションで生活していた。ここならば、押しかけるマスコミをシャットアウトすることができる。
アーサーが部屋に入ると、そこにレイの他に意外な人物がおりアーサーを驚かせた。ソファーに座り濡れた髪をバスタオルで拭うレイの傍に、ガルストンがまるで主にかしずく騎士のようにはべっていた。レイもガルストンに親しげな笑みを向けて楽しげに何事かを話している。
いつの間にか親密な雰囲気を醸し出している二人の様子を見たアーサーは、急激に頭に血が昇っていくのを感じた。たちまち冷静さを失ったアーサーは大きく足音を立てて二人に詰め寄る。
「アーサー?」
気づいたレイがその名を呼ぶが、それさえもアーサーの耳には入らなかった。
「貴様、ここで何をしている」
アーサーの冷やかな声が瞬時に場の空気をも凍らせる。睡眠不足の血走った眼でガルストンを睨みつけるその顔はもはや正気ではない。
「貴方に渡すものがあったのでここに寄ったところ、レイジさんが酷い格好をなさっていたのでシャワーをお勧めしたのです。…貴方が心配するようなことは何もありませんのでご安心ください」
うっすらと笑みを浮かべて余裕の表情で答えた男に苛立ちを覚えたが、怯えたように自分を見つめるレイと視線が合い、アーサーに正気を取り戻させた。
ガルストンが手にしていた書類を奪うように取り上げると、
「さっさと帰れ」
そう言って仕事に忠実な秘書を追い出した。
ガルストンが悪いわけではないのは分かっていた。しかし休養の取れない脳は、神経を張りつめ、すぐに興奮状態になるようだった。
理不尽な怒りを秘書にぶつけてしまい、気まずさに沈黙したアーサーにレイが言った。
「アーサー、お疲れ。今日は早かったんだね」
「…君が心配で帰ってきたんだ。卵をぶつけられたと聞いた」
「あ、頭に命中しちゃってさ…。卵って結構痛いんだね」
ショックを受けているはずだろうに、レイは懸命に明るく振舞おうとする。その姿が今はひどく痛々しい。
どうして、非難の矛先が自分ではなくレイに向かうのか。それがアーサーには許せなかった。
世論では、レイがシノン氏から若いアーサーに乗り換えたのだといわれていた。本当のレイを知らない人間が、無責任な意見を述べ、それが真実としてまかり通る。アーサーがどんなにレイの素晴らしさを叫んだとしても、今の民衆の目にはその姿が滑稽に映るだけだろう。
「くそ…、何だってこんな…!!」
いくら地位や財力を持っていても、恋人の一人も守れない自分の無力さがただただ腹立たしかった。
〜To Be Continued…〜![]()
↑読んで下さってありがとうございます!お気に召しましたらポチっとお願いします♪





コメント
うーッ、そう来たかぁ。
レイちゃんがどこまで頑張れるか、アーサーがどうやって守っていくか、今後の展開が気になるじゃないかぁ。
ああ、確かに卵は結構痛いよね・・・。
卵が当たったトコロ、ちゃんとナデナデしてあげてね、アーサー。
No:32 2007/09/04 00:27 | ちゃとら☆ #-URL[ 編集 ]
いらっしゃいませ、ちゃとら様♪
コメ&拍手ありがとうございます☆
レイちゃんは、私としても幸せにしてあげたいキャラNo.1なんですが、ストーリーの展開上それもままならず…(-_-;)
やはり作者の心を反映してか、このままどんどん進みマス…★
辛い展開ですが、見捨てずお付き合いいただけると幸いでございます…_(_^_)_
No:33 2007/09/04 07:12 | れおん #-URL[ 編集 ]
コメントの投稿