恐怖のバクテリア〜バクテリア王国へようこそ〜

御厨鈴音(みくりやれおん)が勝手に作り上げた恐れるにたらぬ王国。小説とも呼べない駄文ばかりですので、読むときっと後悔します。そんなの嫌だ、という方と18歳未満の方、BLという二文字に嫌悪を感じる方は今すぐお逃げ下さい。
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御厨 鈴音

Author:御厨 鈴音
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Perfect Love act18

►2007/08/20 12:00 

 夕方になって、急に気温が下がり始めた。
 季節外れだが暖炉に火を入れてもらい、アーサーはその火を見つめながらシャンパングラスを傾けていた。
 シャワーを浴びてなんとか身体の汚れは落ちたものの、まだあの異臭が残っているような気がして不快だった。
 背後でドアがカチリと音をたてた。振り返るとレイがドアの隙間から顔を覗かせていた。
「こっちにおいで。温まるといい」
 うん、と頷いて部屋に入ってきたレイはバスローブ姿だった。ほっそりとしたひざ下がのぞいている。
 レイは躊躇うことなくアーサーの隣の毛皮のラグの上にちょこんと座った。自分に対する警戒心がなくなったことを思えば、池に飛び込んだこともあながち悪いことではなかったと思うアーサーである。
「服はどうした?」
 新しい衣類を出してやるようにとモーリスに指示したはずだった。
 するとレイは楽しそうに笑って言った。
「サイズが合うのがどうしても無くって。モーリスさんが汚れた服をなんとしても元通りにするって張り切ってたよ」
 ここにはアーサーの姉もよく出入りするので、衣類もたくさん置いてあると思っていたが、グラマーな体型の彼女の服はレイには合わなかったようだ。
 しかし服がなくて困るのはレイよりもアーサーだった。多くの経験を重ねてきたアーサーは女性の裸など飽きるほど見てきたはずなのに、レイのわずかに見える胸元や、裾の合わせ目からチラリとのぞく白い太ももが妙になまめかしく見えて、目のやり場に困ってしまう。
「シャンパンはどうだい?これは口当たりがよくてとても飲みやすい」
 今レイを見ると、理性を失ってしまいそうだった。否、今だけではない。アーサーはいつもレイの前では理性を保てなくなる。
「ありがとう。……あ、これおいしい」
「今、ディナーを作らせている。シェフはフランス人だから安心してくれていい」
 アーサーの皮肉にレイが笑う。
「僕はフィッシュ・アンド・チップスも好きだよ」
「あんなもの、食べ物じゃない」
「イギリス人なのにひどい言い方!」
 会話が途切れると、パチッ、パチッと暖炉で薪が燃える音だけが響く。気まずくはないが、レイの視線を痛いほどに感じて心拍数が上がる。
「ねえ、アーサー」
 先に沈黙を破ったのはレイだった。呼びかけられてアーサーは否応なくレイと視線を合わせる。レイの大きな瞳はまっすぐにアーサーを捉え、わずかに潤んでいるように見えた。
「まだ早いけど、今言っちゃうね。…今日は招待してくれてありがとう。すごく楽しかった」
「…あんなことがあったのに?」
 アーサーが茶化しても、レイは真剣な表情を崩さなかった。
「あんなことも思い出の一つだよ。僕はすぐにいろんなことを忘れちゃうけど、でも今日のことは絶対に忘れないよ」
 レイが忘れてしまったこと。それは10歳からの記憶のことなのか。レイの真摯な眼差しの意味を知り、胸が締め付けられる。
「レイ…」
 まだ湿り気を残したままの髪に手をのばす。その手を頬にすべらせてもレイは嫌がる素振りを見せない。パーティーの夜、手の甲にキスした時のような過敏な反応もない。ただアーサーのされるがままになっている。
 触るだけでは全然足りない。味わって、吸い尽して、深くまで侵入したい。その激しい衝動の前では、同性などという問題は簡単に吹き飛んでしまった。顔を上向かせると、レイが一瞬息を飲むのがわかった。
「怖がらないでくれ」
 アーサーは小さな声でそう囁くと、レイの唇に自らのそれを重ねた。始めは軽く触れるだけで我慢しようと思ったが、その柔らかな感触にすぐに物足りなさを感じて、舌で唇を撫でてやる。呼吸の苦しくなったレイが唇を開くとその隙を見逃さず、口腔へと侵入する。
「…ン、…フ……」
 レイが時折洩らす声さえも、鼓膜を直接愛撫されているかのようにアーサーをますます興奮させた。行為は徐々にエスカレートし、アーサーは自由自在にレイの口内を味わった。
 もはや理性など失っている。アーサーはレイの肩を掴むと、ラグの上に押し倒した。
「………っ!!」
 声にならない悲鳴がレイの口から洩れた気がした。脅えきった眼でアーサーを見つめる姿を見て、冷水を頭から掛けられたような心地だった。
 最悪だ。自分はまたやってしまったのだ。
「…すまない」
 それだけ言うので精一杯だった。それ以外に言うべき言葉も見つからない。
 無言で立ち上がると、アーサーはこの場からの脱走を図った。これ以上レイの顔を見ていると、自己嫌悪でどうにかなってしまいそうだった。
 ドアノブに手を掛けた瞬間、
「アーサー…」
 レイの声に、アーサーは足を止めて耳を傾ける。
「ご、ごめんなさい…」
 今にも泣き出しそうな声だ。忘れてしまいがちだが、中身は10歳の子供なのである。その子供に自分はなんてことをしようとしたのかと思うとさらに自己嫌悪は深まる。
「君が謝ることはない。また私は君に酷いことをしてしまった。謝らなければならないのは私の方だ」
 すると、レイが意外なことを口にした。
「でも、キスは嫌じゃなかったよ…?」
(………!?)
 ドアノブを握ったまま固まってしまったアーサーだった。



〜To Be Continued…〜




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