Primrose Way act29
レイはまるで信じられないものを見るような眼でアーサーを見つめた。
まさかアーサーが…という思いと、激しい焦燥とがごちゃ混ぜになり頭の中が混乱していく。
「アーサー、この痕は何…?まさか君、まさか…」
アーサーの左腕にできた無数の紫斑はどこかにぶつけたにしては不自然過ぎた。
精悍な面立ちはやつれ、まるで金糸のようだったブロンドは艶を失くしまるで打ち捨てられた藁のように萎びている。肌や唇も所々皮膚がめくれて白く粉を吹いていた。
改めて確認するまでもなく、今のアーサーの姿は酷いものだった。
紫斑が意味するところの答えはアーサーを問い詰めずとも明白だった。
「どうして、どうしてこんなことに…?」
問うように呟いて、しかしそれが自分の所為なのではないかと思い付く。
アーサーとの関係の破綻…。しかしそれは仕方の無いことだと思っていた。自分がアーサーから身を引くほうが彼の将来にとって望ましいことのように思えた。男同士の恋愛に未来はない。ましてやアーサーは名家の御曹司で、未来に血統を残さなければならないという半ば強制的な義務を背負っている。アーサーがどんなにレイを愛していても、自分たちの関係は何も生み出さない。世間から非難されるだけの不毛な関係なのだ。
アーサーにはそのことを何度も繰り返し諭してきた。アーサーとて分かっていないわけではないだろうが、彼がレイの言葉に耳を貸すことはなかった。それでもいつか、アーサーが心変わりすることを、またアーサーに大切な人が出来ることをずっと祈り続けてきた。しかし、アーサーのレイへの想いは想像以上に強く、激しいものだった。自分の身を滅ぼしてしまうほどに…。
どうしてもっと早く気付いてあげられなかったのか。こんなことになる前に何かできることがなかったのだろうか?
後悔がレイを苦しめ、激しい焦燥へと駆り立てる。
「駄目だよアーサー、こんなこと絶対に駄目だ!」
力を込めて揺さぶったレイの手は、アーサーによって乱暴に振り払われた。
「君には関係のないことだ」
一切視線を合わせることなく、アーサーは立ち上がると部屋の一つに入っていった。カチリと施錠の音が聞こえ、レイは拒絶されたのだと知る。
話し合いがしたいと思ったが、アーサーのあの頑なな態度では今日は無理そうだった。
レイはその夜、簡単に眠りにつくことができずひたすらアーサーのことばかり考えていた。
そうしていつしか訪れた眠りは浅く、レイは久しぶりに過去の悪夢を見た。
恐ろしい場面で目が覚めて、レイは自分の身体が汗で不快に濡れていることに気づく。
再び寝入る気分にもなれず、レイは水を求めてキッチンへと向かう。
キッチンに行くにはリビングを通らなければならない。レイはふとリビングで物音が聞こえて立ち止まった。
リビングの壁は今はロンドンの夜景を映し出していた。そしてその窓の前には人影があった。
他でもないその人物は琥珀色の液体の入ったグラスを手に背を丸め、身体を震わせていた。
アーサーの噎び泣くような声に、レイはその場に立ち尽くし締め付けられるような胸の痛みに呼吸を奪われた。
(アーサー…)
声を掛けて慰めてあげたい、と思ったがとてもそんな雰囲気ではなかった。そして今の自分にそんなことをする権利はないと気づいた。
世界の経済をリードする類い稀なるカリスマを持った青年はその実、あまりにも孤独だった。
〜To Be Continued…〜![]()
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コメント
なんか悲しい…
アーサー悲しすぎるよ…
レイちゃんに責任はないと思うけど、原因ではあるわけですからね。
なんとかしてあげられるなら、してあげてほしいです(*・人・*)
エディが悲しい終わり方だったので、せめてアーサーには幸せになってほしいですよ〜(TwT。)
No:162 2007/10/30 16:36 | 遠麗 #-URL[ 編集 ]
すいませ〜ん(ToT)
いらっしゃいませ、遠麗様♪
ストーリーに関しては今の時点で何も言うことはできないのですが、気長に読んで頂けると嬉しいです。本当の完結は来年の春頃になる予定です。まだストーリーは半分も終わってないんですよ〜!!どんだけ長いの〜!?って感じですが(^_^;)
これからも末長くお付き合い頂ければ幸いでございます_(._.)_
No:163 2007/10/30 16:50 | れおん #-URL[ 編集 ]
悲しい……
初めまして!
れおん様の小説を読ませてもらっておりますレナと申します。
つい最近こちらのサイト様を見つけて読んでいたのですが悲しすぎて思わず投稿させてもらいました。
2回繰り返し読んでいるのですが、悲しすぎて涙が止まりません…
何とも言えないけれど悲しいのです。
ネット上の小説でこんなに泣いたのは初めてかも…
先が見えるような見えないようなで気になりますがこれからも頑張ってください!
No:276 2008/06/19 23:21 | ゆうな #cj9Q90/MURL[ 編集 ]
いらっしゃいませ、レナさま♪
レナさま初めまして☆
レナさまのコメントを読んで感動しました(。´Д⊂)
二回も繰り返し読んで頂いているなんて、素人物書きとしてこんなに嬉しいことはありません。
この後も悲しい展開が続きますが、ラストはハッピーエンドになる予定なので、最後まで根気強くお付き合いいただけると幸いでございます(平伏)。
自己満足のためにダラダラと書き綴っているような小説ブログですが。
レナさまのような読者さまがいらっしゃるなんて、ホント、私ったら幸せ者です☆
これからもよろしくお願いします♪
No:277 2008/06/20 05:30 | れおん #-URL[ 編集 ]
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