Perfect Love act5
ユベール・ド・シノンとレイが乗り込んだお抱え運転手付きの車はヨーロッパ産の高級車ではなく、意外にも日本製のハイブリットカーである。地球環境に優しいのはもちろん、性能は抜群だし乗り心地もヨーロッパ産高級車にひけをとらない。
昔はユベール・ド・シノンも日本を蔑視する欧米人の一人だった。ユベールの顧客にも日本人が多くいたが、その成金趣味的な嫌らしさで胴長短足が特徴である彼らがこれ見よがしに自分のブランド服を身にまとっているのが許せなかった。似合っておりませんという言葉を飲み込んで、何度心の中で黄色い猿め、と罵ったかしれない。
しかし、「彼」に出会ってすべてが変わった。
彼はユベールの中に凝り固まっていた差別や偏見を打ち壊してくれた。枯れ果て、干からびていた感性に再び泉をもたらしてくれた。彼はユベールにとって、救世主と言っても過言ではない。今や彼なくしては一日が始まらないほど大きな存在になっていた。
二年前、思いもかけず彼との生活が始まったが、それは想像していた様な甘いものではなく、怒りと苦しみと自分の無力さを痛感する毎日であった。
しかし今はそれを乗り越え、蜜月ともいえる幸福な日々を送っている。彼がいつもそばにいるというだけで得られる幸福はそれだけで他に何もいらないと思えるほどだった。
しかし、いつまでも彼を自分だけのもののように独占していられるのもそろそろ終わりかもしれないとも思う。
彼はまだ若く天賦の才能があり、その美貌は人々を魅了する力をもっている。今こそ彼を解放してやるべき時かもしれないとも思うが、いざその機会が訪れるとやはり手放したくないという気持ちがユベールを支配する。
「電話をかけないなら捨ててしまいなさい」
電話番号の書かれた名刺をじっと眺めているレイに掛けた言葉は、やはりついつい意地悪になってしまう。
「でも…」
心優しいレイはもらった紙切れですらも捨てられないらしい。しかしユベールからしてみればその紙切れ一枚ですら憎たらしい。
レイがアーサー・ギルフォードと一緒に個室にいると聞いたときには、心臓が止まるような思いをした。
何せプレイボーイで有名なギルフォード氏である。ついにレイもその毒牙にかかったかと心配したが、レイの様子を見る限りユベールが心配していたような事態は起こらなかったようだ。
しかし、ギルフォード氏はユベールの牽制に敵対心をあらわにしてきた。どうやら本気でレイにちょっかいを出そうと企んでいるようだ。
確かにレイは見た目には18,9歳位の美少女にしか見えない。無垢すぎるレイの美貌は、時として色恋に手慣れた男さえも狂わせる。
あの時外相に呼ばれてレイを一人にしなければよかったと今更ながら後悔する。あの場にレイを置き去りにするのは狼の群れに子羊を与えるのと同じことだった。
レイもいつか誰かを好きになり、胸を焦がすような恋をするかもしれない。しかし、相手はギルフォード氏ではない。間違ってもあの男になどレイを渡すわけにはいかない。
「どうせ君は掛けない。…こうしてあげよう」
ユベールはレイの手から名刺を奪うと、二度三度と千切り、少し開けたウインドーから捨ててしまった。
あっ、と声をもらして残念そうに紙ふぶきを見送ったレイに少しばかり良心が痛んだが、これもレイのためである。レイを守ることができるのは自分だけだ。これ以上、レイを傷つけてはならない。これ以上は……。
〜To Be Continued…〜![]()
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コメント
鈍くて済みません・・(苦笑)
れおんさん!おはようございます♪
知らされていたとはいえ、初めてここで気が付きました!
レイちゃん!男だったんですよね!(苦笑)
ユーベルの嫉妬心・・凄いっすね!・・レイちゃんが籠の中の鳥に見えてきた!!(汗)
アーサーとユーベルとレイちゃんの三角関係になるんでしょうか??おぉ!!これからまた楽しみです♪
No:18 2007/09/01 08:19 | 古田 #WGr3aBVIURL[ 編集 ]
実は…♪
act5までは書くのが辛かった時期でした。全然BLっぽくないし…。でもストーリーを通して、ユベール視点の章が一番出来がいいです。おじさま萌えだったんでしょうか…
No:20 2007/09/01 10:24 | れおん #-URL[ 編集 ]
う〜ん、やっぱり、シノン、癖があっていいですね。フケ専気味な私としては、老いらくの恋的なところがGOOD!(笑)
No:270 2008/06/11 21:55 | シャンパンG #-URL[ 編集 ]
いらっしゃいませ、シャンパンGさま♪
シノンおじさまお気に召して頂けたみたいで嬉しいです☆
お気に入りのキャラなので褒めていただけて感激です!
最近出番がないおじさまです(^_^;)
今書いている次の話で出てくる予定なので、今から楽しみなんですよね(#^.^#)
コメントありがとうございました♪
No:271 2008/06/11 23:02 | れおん #-URL[ 編集 ]
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