Love Paradox act11
►2007/12/15 20:00
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玲人の容体が気になった里村は、いつ読まれてもいいようにと「心配しております」という内容のメールを送信した。おそらく入院中だろうと思っていた里村は、間を置かず鳴った携帯電話に驚いた。
「もしもし?」
『お久しぶりです。荻久保です』
出てみるとやはり玲人本人で、その声を聞けば里村の心臓は否応なく高まる。
「…お久しぶりです」
玲人との二人きりのディナーの夜から二週間以上が経過していた。
あの後、何度かメールが来ていたが、ここ十日ほどは連絡が途絶えていた。あんなことをしてしまった後だったし、メールでさえも上手くない里村が飽きられてしまっても仕方のないことだと諦めていたのだが、思いもよらない返事の早さに里村の方が動揺した。
『ご心配おかけして、申し訳ありませんでした』
思っていたよりも元気そうな声が聞こえてきたので安堵した里村だったが、電話越しでは顔色までは伺えない。
「お身体の方は大丈夫なんですか?」
『ええ、ただの貧血ですから。ちょっと大げさに騒がれちゃったけど、全然平気なんですよ』
だから病院は日帰りでした、と玲人は笑った。一瞬だが、その笑い声が妙に虚しく聞こえた気がして里村はそれが気になった。やはり、無理をしているのではないか。里村はそう感じた。
『あの、それでですね』
急に、玲人がやや声を落として内緒話のトーンで言った。
『今週の日曜日はお暇ですか?』
何かの聞き間違いではないかと耳を疑った。どうやら玲人はまた里村を誘ってくれるつもりらしい。あんなことをしたのに、と里村はどうしても疑心暗鬼になってしまう。
返答の言葉のない里村に、玲人はさらに続ける。
『僕とデート、しませんか?』
いたずらっ子のようにそう言って、玲人はふふふっと笑う。
『一緒に映画、見に行きませんか?その後ブラブラして、お食事して。ね、デートみたいでしょ?』
「はぁ…」
この人は…、と里村は内心ため息をつく。自分の言葉で相手がどれだけ動揺しているのかなんて知りもしないで、こんなことを言う。無意識なのか、意図的なのかわからないが、どちらにしろ里村の心拍数が上がるのは同じことで、つまり玲人はかなり性質が悪い。
『だめ、ですか?』
とどめのように、先ほどとは打って変わった気弱な声で訊いてくる。こんな風に言われたら、玲人に恋心を抱いている里村は白旗を上げるしかないではないか。
「日曜日、大丈夫ですよ」
玲人には、一生勝てそうな気がしない。しかしそれは決して嫌な感情ではない。
『良かった〜!じゃあ、決まりですね。待ち合わせは、六本木ヒルズ前で11時でいいですか?』
異存はないことを伝えると、玲人は最初に感じた陰りなど吹き飛んでしまったかのように、
『日曜日、楽しみにしてますね!』
と、嬉しそうな声で電話を切った。
何だか振り回されている感があるが、それも相手が玲人ならば許せてしまう。そんな自分は自分が思っている以上に玲人に惚れているのかもしれないと里村は思う。
そして、週末の訪れを待ちわびている自分にくすぐったい思いを感じながら、里村は携帯電話を見つめていたのだった。
〜To Be Continued…〜

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「もしもし?」
『お久しぶりです。荻久保です』
出てみるとやはり玲人本人で、その声を聞けば里村の心臓は否応なく高まる。
「…お久しぶりです」
玲人との二人きりのディナーの夜から二週間以上が経過していた。
あの後、何度かメールが来ていたが、ここ十日ほどは連絡が途絶えていた。あんなことをしてしまった後だったし、メールでさえも上手くない里村が飽きられてしまっても仕方のないことだと諦めていたのだが、思いもよらない返事の早さに里村の方が動揺した。
『ご心配おかけして、申し訳ありませんでした』
思っていたよりも元気そうな声が聞こえてきたので安堵した里村だったが、電話越しでは顔色までは伺えない。
「お身体の方は大丈夫なんですか?」
『ええ、ただの貧血ですから。ちょっと大げさに騒がれちゃったけど、全然平気なんですよ』
だから病院は日帰りでした、と玲人は笑った。一瞬だが、その笑い声が妙に虚しく聞こえた気がして里村はそれが気になった。やはり、無理をしているのではないか。里村はそう感じた。
『あの、それでですね』
急に、玲人がやや声を落として内緒話のトーンで言った。
『今週の日曜日はお暇ですか?』
何かの聞き間違いではないかと耳を疑った。どうやら玲人はまた里村を誘ってくれるつもりらしい。あんなことをしたのに、と里村はどうしても疑心暗鬼になってしまう。
返答の言葉のない里村に、玲人はさらに続ける。
『僕とデート、しませんか?』
いたずらっ子のようにそう言って、玲人はふふふっと笑う。
『一緒に映画、見に行きませんか?その後ブラブラして、お食事して。ね、デートみたいでしょ?』
「はぁ…」
この人は…、と里村は内心ため息をつく。自分の言葉で相手がどれだけ動揺しているのかなんて知りもしないで、こんなことを言う。無意識なのか、意図的なのかわからないが、どちらにしろ里村の心拍数が上がるのは同じことで、つまり玲人はかなり性質が悪い。
『だめ、ですか?』
とどめのように、先ほどとは打って変わった気弱な声で訊いてくる。こんな風に言われたら、玲人に恋心を抱いている里村は白旗を上げるしかないではないか。
「日曜日、大丈夫ですよ」
玲人には、一生勝てそうな気がしない。しかしそれは決して嫌な感情ではない。
『良かった〜!じゃあ、決まりですね。待ち合わせは、六本木ヒルズ前で11時でいいですか?』
異存はないことを伝えると、玲人は最初に感じた陰りなど吹き飛んでしまったかのように、
『日曜日、楽しみにしてますね!』
と、嬉しそうな声で電話を切った。
何だか振り回されている感があるが、それも相手が玲人ならば許せてしまう。そんな自分は自分が思っている以上に玲人に惚れているのかもしれないと里村は思う。
そして、週末の訪れを待ちわびている自分にくすぐったい思いを感じながら、里村は携帯電話を見つめていたのだった。
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