In the name of love act30 (完結)
►2007/09/30 20:00
ハーシェル氏からの電話を受けて、アーサーはすぐさま車を手配させレイの行方を捜す。
レイはすぐに見つかった。
レイは、ハーシェル氏のアパートの近くで呆然と立ち尽くしていた。
アーサーは車を寄せさせて、ウインドーを下ろす。
「レイ、車に乗るんだ」
声を掛けてもまったく反応はない。
アーサーの声が聞こえていないはずもなく、無視を決め込んでいるらしいレイにわずかに苛立ちながら、
「風邪をひくぞ。早く乗るんだ」
強い口調で言っても、やはりレイは置物のようにピクリともしなかった。
仕方なくアーサーは、車から降りるとレイの身体にコートを羽織らせて肩を抱いた。
すると、レイはアーサーの手を拒み、後ずさる。
「レイ!」
傷ついたレイがすぐに自分を頼ってくるものと思っていたアーサーは、その思いも寄らぬ拒絶に驚きを隠せない。
レイは感情の伺えない空虚な瞳でじっとアーサーを見据えていた。
「全部、君の仕業なんだね…」
呟くように発せられた言葉が拒絶の理由を教える。
言葉を失くしたアーサーにレイが言った。
「この前、ケイトさんっていう人に会ったよ。エディの彼女だった人…。エディの子供を妊娠してるから別れてって言われたよ。その時、アーサーの話が出たから何か変だと思った。でも、いいんだ。彼が幸せになってくれればそれでいい…」
アーサーは歯ぎしりせずにはいられなかった。余計なことをして尻尾を出した女を殺してやりたい気分だった。
計画は、最悪の形で露呈してしまった。
「でも、君のしたことは当分許せそうにない」
レイがふと顔を逸らす。その頬には一筋の涙が流れていた。
「君には絶望したよ。…もう顔も見たくない」
レイの言葉がアーサーの心を深く突き刺す。
愛という名のもとに、自らが犯してしまった罪の深刻さにその時ようやく気が付いた。
しかし、もう遅い。
レイの心は完全に自分の元を離れてしまっていた。
レイは羽織っていたコートを振り落とし、アーサーに背を向けて歩きだす。
その後ろ姿が語るのは、完全なる決別。
もう二度と戻ることのないぬくもり。
「一年だ!!」
アーサーの声が深夜の街に響く。
諦めることなどできない。諦めるものかと、アーサーはさらに叫ぶ。
「君が許してくれるまで私はいつまでも待つ。一年は君の前に現れないと誓う!!」
レイは足を止めることなく暗闇の中を歩いていく。
それでもアーサーの声は聞こえているはずだった。
「愛してるんだ、レイ!!」
アーサーの声だけが虚しく響き、レイの姿はやがて闇に消えた。
失ったものの大きさを痛いほどに噛みしめながら、アーサーはその後ろ姿をただひたすら見つめていた。
〜『In the name of love』END〜
『Primrose way』に続く。

↑最後まで読んでくださったみなさま、本当にありがとうございます!!
応援ありがとうございます。これからも頑張ります♪
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レイはすぐに見つかった。
レイは、ハーシェル氏のアパートの近くで呆然と立ち尽くしていた。
アーサーは車を寄せさせて、ウインドーを下ろす。
「レイ、車に乗るんだ」
声を掛けてもまったく反応はない。
アーサーの声が聞こえていないはずもなく、無視を決め込んでいるらしいレイにわずかに苛立ちながら、
「風邪をひくぞ。早く乗るんだ」
強い口調で言っても、やはりレイは置物のようにピクリともしなかった。
仕方なくアーサーは、車から降りるとレイの身体にコートを羽織らせて肩を抱いた。
すると、レイはアーサーの手を拒み、後ずさる。
「レイ!」
傷ついたレイがすぐに自分を頼ってくるものと思っていたアーサーは、その思いも寄らぬ拒絶に驚きを隠せない。
レイは感情の伺えない空虚な瞳でじっとアーサーを見据えていた。
「全部、君の仕業なんだね…」
呟くように発せられた言葉が拒絶の理由を教える。
言葉を失くしたアーサーにレイが言った。
「この前、ケイトさんっていう人に会ったよ。エディの彼女だった人…。エディの子供を妊娠してるから別れてって言われたよ。その時、アーサーの話が出たから何か変だと思った。でも、いいんだ。彼が幸せになってくれればそれでいい…」
アーサーは歯ぎしりせずにはいられなかった。余計なことをして尻尾を出した女を殺してやりたい気分だった。
計画は、最悪の形で露呈してしまった。
「でも、君のしたことは当分許せそうにない」
レイがふと顔を逸らす。その頬には一筋の涙が流れていた。
「君には絶望したよ。…もう顔も見たくない」
レイの言葉がアーサーの心を深く突き刺す。
愛という名のもとに、自らが犯してしまった罪の深刻さにその時ようやく気が付いた。
しかし、もう遅い。
レイの心は完全に自分の元を離れてしまっていた。
レイは羽織っていたコートを振り落とし、アーサーに背を向けて歩きだす。
その後ろ姿が語るのは、完全なる決別。
もう二度と戻ることのないぬくもり。
「一年だ!!」
アーサーの声が深夜の街に響く。
諦めることなどできない。諦めるものかと、アーサーはさらに叫ぶ。
「君が許してくれるまで私はいつまでも待つ。一年は君の前に現れないと誓う!!」
レイは足を止めることなく暗闇の中を歩いていく。
それでもアーサーの声は聞こえているはずだった。
「愛してるんだ、レイ!!」
アーサーの声だけが虚しく響き、レイの姿はやがて闇に消えた。
失ったものの大きさを痛いほどに噛みしめながら、アーサーはその後ろ姿をただひたすら見つめていた。
〜『In the name of love』END〜
『Primrose way』に続く。
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