恐怖のバクテリア〜バクテリア王国へようこそ〜

御厨鈴音(みくりやれおん)が勝手に作り上げた恐れるにたらぬ王国。小説とも呼べない駄文ばかりですので、読むときっと後悔します。そんなの嫌だ、という方と18歳未満の方、BLという二文字に嫌悪を感じる方は今すぐお逃げ下さい。
07≪ 2008/08/ 12345678910111213141516171819202122232425262728293031 ≫09

プロフィール

御厨 鈴音

Author:御厨 鈴音
好:ガンダムSEED、00、BL、チョコ
嫌:争いごと、魚卵、カニ
属:主腐。

最近の記事

  • 恐怖のバクテリア〜バクテリア王国へようこそ〜 (08/09)
  • The last love word act21 (08/08)
  • The last love word act20 (08/06)
  • The last love word act19 (08/04)
  • The last love word act18 (08/01)

最近のコメント

  • れおん:The last love word act13 (07/26)
  • 遠麗:The last love word act13 (07/24)
  • れおん:Perfect Love act33 (完結) (07/18)
  • シャンパンG:Perfect Love act33 (完結) (07/18)
  • れおん:Je te veux 〜after Arthur〜 act30 (完結) (06/25)

月別アーカイブ

  • 2009年08月 (1)
  • 2008年08月 (4)
  • 2008年07月 (13)
  • 2008年06月 (40)
  • 2008年05月 (28)
  • 2008年04月 (27)
  • 2008年03月 (12)
  • 2008年02月 (16)
  • 2008年01月 (8)
  • 2007年12月 (11)
  • 2007年11月 (25)
  • 2007年10月 (31)
  • 2007年09月 (31)
  • 2007年08月 (35)

カテゴリ

  • The last love word (21)
  • Je te veux 〜after Arthur〜 (30)
  • Stories 〜before Reiji〜 (31)
  • Sweet Bitter Chocolate(完結) (34)
  • Crush on You(完結) (10)
  • Love Paradox(完結) (32)
  • You are my shining star(完結) (22)
  • Primrose Way (完結) (31)
  • In the name of love (完結) (30)
  • Perfect Love(完結) (33)
  • 今日のつぶやき (2)
  • ショートストーリー (6)

FC2カウンター

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

Primrose Way act1

►2007/10/01 20:00 

 新連載「Primrose Way」スタートです!
 時間軸的には前作「In the name of love」から一年後、という設定です。
 場所はアメリカNY、犯罪は少なくなり治安はよくなったものの、低所得者層の人間が数多く住む架空のスラム街という感じです。
 




>> ReadMore
 階段を上がる足音が聞こえ、少女は手すりから身体を乗り出して下を覗き込む。
「おかえり、レイ!」
 見知った顔を見つけ、少女は笑顔で声をかけた。
 レイと呼ばれた眼鏡の青年は上を見上げ、少女の姿をみとめると口元に笑みを作る。
「ただいま、サナ」


 レイジ・オギクボという日本人の青年が、このアパートに越してきて一年になる。
 始めは厚いレンズの眼鏡に、野暮ったいファッションをした風体のあがらないこの地味な青年を遠まわしに見ることしかしなかったサナたち兄弟も、母親のマーガレットが青年を家に招いて食事を食べさせるようになってからは青年が見た目によらず人懐っこい性格だということがわかり、兄弟が青年と仲良くなるのにさほど時間は掛からなかった。
 青年はミュージシャンを目指しているという。
 毎日のようにレコード会社や有名なアーティストに曲を持ち込んで積極的に売り込んだ結果、ついにある有名アーティストのアルバムに一曲だけ採用されることになったらしい。
「今日はお祝いだよ!!」
 サナの言葉にレイは白い歯を見せて笑う。
 今日はようやく日の目をみたレイの地道な音楽活動の前途を祝うささやかなパーティを開く予定だった。
「ありがとう。夜にお邪魔するよ」
 そう言って、その手に持った紙袋を掲げて見せた。
「あ、『メアリー・クック』のケーキだ!!やったー!!」
「後でみんなで食べよう」
 穏やかな笑みを見せてレイは階下の部屋へと消えた。
 その笑顔を見たサナは、あの眼鏡さえなければ少しはマシなのに…と毎度感じる不満をまた新たにしたのだった。


 アパート前の路上で遊んでいたのは、サナの幼い兄弟のジュリーとティムである。
 二人が夢中でサッカーにもならないボール遊びをしていると、この薄暗い路地に相応しくない黒光りする車が進入してきた。車はぴたりとアパートの前に横づけされて停止する。
 兄弟が何事かと様子を伺っていると、車の後部座席が運転手の手によって恭しく開けられ、中から映画俳優さながらの美丈夫が現れた。
 まるで映画のワンシーンのような一連の光景に兄弟が呆然と見惚れていると、件の美青年が声をかけてきた。
「ここにレイジ・オギクボという青年はいるかね?」
 問いに、幼い兄弟は畏怖のあまり声を出せずにコクコクとうなずく。
 すると美青年は満足そうに頷いて、
「そうか。…ありがとう」
 と言いアパートの狭い階段を上がっていった。
 幼い二人はその非現実的な姿にしばらく呆けていたが、
「かっこよかったね!」
「ウン!」
「レイのおともだちかな?」
「ウンウン!」
 興奮した様子で無邪気にはしゃいでいたのだった。


 部屋の呼び鈴が鳴らされ、レイは「はーい」と声を掛けて玄関へ向かう。
 マーガレットの子供たちならば呼び鈴など使わない。特に下の子供たちならば、呼び鈴に手が届かないから、いつも元気な声でレイの名前を呼ぶ。
 誰だろうと思いながら、レイはそのドアを開ける。
 …そして、絶句した。
「やあ、レイ。…君に会いにきたよ」
 もう会うことはないと思っていた男。記憶から消し去りたいと思っていた、その人だった。
 それは、約束の一年後。ちょうど、その日であった。


〜To Be Continued…〜



にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
↑読んで下さってありがとうございます!お気に召しましたら、ポチっとお願いします♪
 




Return <<

テーマ : 自作BL小説 - ジャンル : 小説・文学

Primrose Way (完結) | Comment(6) | Top ▲

Primrose Way act2

►2007/10/02 20:00 



>> ReadMore
「ア、アーサー。…なんで……?」
 驚愕のあまり言葉を繰り出せずにいる目の前の青年は、記憶の中の美しいレイとは掛け離れた容貌をしていたが、アーサーには彼こそが一年間自分が求め続けてきた人だと分かる。
「相変わらず、用心がたりないな」
 レンズを覗かずにドアを開けたレイに、アーサーはそんな声をかける。
「何しに、来たの…」
 レイはかなり酷い格好をしていた。しばらく櫛を通していなそうなボサボサの髪に、その容貌を隠すためと思われるサイズの大きい眼鏡は目の表情を窺うことができないほどレンズが厚い。
 華奢な身体を包むのは、洗いざらしの皺だらけのシャツ。ジーンズも穴が空いていて、お世辞にも清潔感があるとは言い難いファッションだ。
「ご挨拶だな。君に会いに来たに決まってるだろう?」
 レイは覚えているのだろうか?一年は姿を見せないと言った、あの約束を。
「…あがって。汚い部屋だけど」
 美貌を隠す無粋な眼鏡のせいでレイの表情を窺い知ることはできないが、戸惑いを感じていることはアーサーにもわかった。その戸惑いも、じきに解いていけばいい。恋人の影がないことは、この一年密かにつけていた監視によってわかっている。
 確かに、レイの部屋は以前のロンドンのアパートよりも狭く、物があふれ雑然としていた。スコアや、飲みかけのジュース、衣類などが好き勝手に遊んでいる。
 キーボードやその他機材の周りだけは整然としている辺りが、レイの今の生活を物語っているようだった。
「出すものなんて何もないけど。ごめん」
「いい。君に会いに来たと言ったろう。君の元気な姿を見られただけで嬉しい」
 うわべのセリフを言って、アーサーはレイに近づく。
 レイが、ハッと息を飲んで二、三歩後ずさるが狭い室内ではすぐに壁に追い詰められてしまう。
 アーサーはレイの眼鏡に手を掛けると、それを無理やり外した。
「…やッ……!」
 眼鏡の下から、アーサーが一年間ひたすら望み続け、しかし、自らが課した罰により目にすることが叶わなかった美貌が現れる。それは一年前と変わらず、アーサーの心を激しく揺さぶる美しさを持っていた。
 感嘆のため息をもらし、アーサーはその愛してやまない白皙に指を滑らせる。
 眼鏡は確かに無粋ではあったが、この美貌を隠すには絶好のアイテムではあった。おかげで誰の目に触れることもなく、再び自分だけのものにすることができるのだから。
 レイが、アーサーの手から逃れようと顔をそむける。そんなことをしても、追い詰められた今の姿勢ではレイに勝ち目はない。
 アーサーはレイの下顎に手をかけると、強引に顔を自分に向かせる。
「もう、逃がさない」
 呟いて、その唇を奪う。まさに奪うという表現が相応しい口付けだった。レイはアーサーから逃れようと必死に顔を振るが、頭の後ろを抑えつけられると、もう抵抗することはできなくなった。さんざん口内を嬲られて脱力したレイは、すでにアーサーの手のうちに堕ちていた。
「大切にする。もう誰にも口出しさせはしない」
 一年は長い。少なくとも、アーサーにとってはこんなに苦悩に満ちた一年はなかった。しかし、その間口さがない人々の罵倒や批判は鎮静化し、世間では二人は別れたものとして認識されていた。レイという人間の存在は人々の記憶から忘れ去られようとしている。それでいいとアーサーは思った。レイという人間を知るのは自分一人で十分だと。
「愛してる…。ずっと、君一人だけだ」
 視界の隅にあったベッドにレイを誘導する。
「ちょ、ちょっと待って!」
 ベッドに引き倒されたレイは往生際悪く抵抗を見せたが、
「一年待った。これ以上は待てない」
 そう言ってアーサーはレイのシャツを脱がしにかかった。


〜To Be Continued…〜



にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
↑読んで下さってありがとうございます!お気に召しましたら、ポチっとお願いします♪
 
Return <<

テーマ : 自作BL小説 - ジャンル : 小説・文学

Primrose Way (完結) | Comment(0) | Top ▲

Primrose Way act3

►2007/10/03 20:00 



>> ReadMore
 ベッドの上には力なく横たわった白い痩身があった。交歓の証はそこかしこに刻まれ、しみやほくろが無いぶん、余計に刻印の色が際立ってみえた。
 アーサーはすっかり身支度を整え、来たときと同じ姿で自らが食い散らかした無残な残骸を満足気に見下ろしていた。
「また来るよ、レイ」
 その声は残酷なほどに優しい。
 レイは余力を振り絞ってどうにか首を動かすと、アーサーの顔をきつく睨みつけ、
「もう、来なくていい」
 強く言い放つ。
 もっとも、レイの一瞥などアーサーの超合金製の神経に一筋たりと傷をつけることなどない。
 むしろそれはアーサーに愛撫に近い心地よささえ感じさせた。
「会いに来てと言ってくれるまで、来るさ」
 レイはもはや、返す言葉もないといった風に黙り込む。
 言葉など、アーサーには届かないのだとようやく気がついたように。
「愛してる」
 激しい情交で余計に乱れた髪の上にキスを落とすと、アーサーは部屋から去っていった。
 …それはまさに青天の霹靂、穏やかだったレイの日常があっさりと終わりを告げた始まりであった。


 マーガレットは仕事から帰宅した早々、子供達の混乱ぶりに耳を傾けなければならなかった。
「あのね、下でレイの悲鳴が聞こえてね、」
「バタン、バタンって音がしてね、」
「いやだーって叫んでたの」
「レイが叫んでたの」
 話を総括するに、夕方レイのもとを訪ねてきたハンサムで金持ちの男がレイに何やら無体を働いたらしい。男は帰ったらしいのだが、それ以降レイの部屋からは物音一つ聞こえず、子供たちはレイが殺されたのではないかと不安がっているのだ。
「いいわ、お母さんが見に行ってきてあげるから、あなた達はここから出ちゃだめよ。誰かが訪ねてきてもすぐに開けちゃだめ。殺人鬼がまた戻って来るかもしれないんだから」
 マーガレットは半ば本気で子供たちを脅して、
「サナ、頼んだわね」
 顔を強張らせた年長の少女に幼い兄弟を委ねた。
 マーガレットの部屋はレイの住む部屋の真上で、粗末な造りのアパートではテレビの音さえ丸聞こえだ。プライベートを守れないというのは欠点ではあるが、こういったトラブルがあるとすぐにわかるのはレイのような目の離せない人間にとっては良い点であると言えるかもしれない。
 レイがこのアパートに越して来た時、マーガレットは女の勘で(何か事情がありそうだ)と感じ取っていた。しばらくして様子を伺っているうちに、母親の勘が(放っておけない子)だと告げた。案の定レイは、自分の素姓をほとんど話そうとしないし、生活能力に関しては壊滅的で、週に一度、マーガレットはレイの部屋の掃除や洗濯など身の回りの世話をやくようになっていた。
 レイはピアノが弾けるということで、教会でのミサの手助けもしている。心根の優しい、素直な青年だということはたった一年の付き合いだがわかっているつもりだ。しかし、肝心なところには踏み込ませてはくれない、一種の壁のようなものをいつも感じていた。
 もっと素直に話してくれればいいのに…とマーガレットはいつもそれをもどかしく思うのだ。
「レイ、そこにいるの?出てらっしゃい」
 声をかけても返事がない。まさか本当に…?と、最悪の事態を思い浮かべて血の気が引く思いになる。必死さを増した声でさらに呼び掛けると、ようやく中から、「はーい」と声がした。
「レイ、大丈夫なの?」
 試しにドアノブをひねると、鍵はかかっておらずすんなりと開いた。
 レイとマーガレットの間柄である。「入るわよ」と強引に侵入した室内には、微かな性の匂いが漂っていた。


〜To Be Continued…〜



にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
↑読んで下さってありがとうございます!お気に召しましたら、ポチっとお願いします♪

Return <<

テーマ : 自作BL小説 - ジャンル : 小説・文学

Primrose Way (完結) | Comment(0) | Top ▲

Primrose Way act4

►2007/10/04 20:00 



>> ReadMore
「ちょっと待って!」
 慌てて衣服を身につけているレイの姿に、マーガレットはこの部屋で何が行われたかを察した。
「レイ、あなたまさか、レイプされたの…?」
 恐る恐る、マーガレットがそれを口にする。
 薄暗い部屋の中、レイは困惑したように立ち尽くしていた。
「同意ではないけど、レイプでもないよ…」
 レイが顔を明後日の方向に向けたまま話すのが不可解で、マーガレットは照明のスイッチを入れる。
「あ!」
 とたんにレイは自らの顔を隠し、動揺したように、
「め、眼鏡…。眼鏡がない…」
 手探りで辺りを探し始めた。
 そんなレイに、マーガレットはつかつかと歩み寄り、肩をつかんで自分の方へと向けさせた。そして、初めて見るレイの素顔に絶句する。
「まあ……」
 一言叱ろうと思っていたのに思わずそんな感嘆の声が漏れるほど、それは美しい容貌だった。まるで、教会の宗教画に描かれる天使のように清らかな美貌だとマーガレットは思った。隠すなんてもったいない、と思う反面、隠していて正解だったとも思う。この美貌にはどこか男の欲望をそそる危うさがある。
 そして、この顔には見覚えがあった。
 一年前、ヨーロッパ中を騒がせたアーサー・ギルフォードの同性愛スキャンダル、その相手はこんな顔をしてはいなかっただろうか?
「今日来ていたのはアーサー・ギルフォードなのね?」
 確認するようにマーガレットが問うと、レイは観念したようにコクリと頷いた。
「恋人ではなかったの?」
「もう、別れたんだ…。でも、向こうはそう思ってない」
 美しい顔が苦悩に歪む。それは行われた行為が彼の本意ではなかったことを教える。
「だからってこんなこと…」
 はだけたシャツの隙間から見える白い肌には、執拗なほどに付けられた刻印が痛ましいほどに刻みこまれていた。まるで、この身体は自分の所有物だと言わんばかりに。
「彼のことを今でも愛してるの…?」
 マーガレットは同性愛に寛容なわけではない。しかし、たとえ同性間であろうとも相手を想う気持ちは同じだと思っている。レイは悩んでいるようだが、肝心なのはただ一点それだけだとマーガレットは感じた。
「昔は愛してた、でも…」
「今は?」
「わからない…。自分でも、わからないんだ…」
 レイの顔が泣き出しそうに歪む。
 マーガレットは自分の子供にそうするように、その豊満な身体にレイを包み込む。
「いいのよ…。今はお母さんに甘えなさい。あなたは今少し混乱しているのよ…。落ち着いたら、答えはおのずと見つかるわ…」
 レイの骨ばった背中を、やさしくなだめるように撫でさする。
 レイも、おずおずとマーガレットの背中に腕をまわす。
『おかあさん…』
 マーガレットには日本語で呟かれたその言葉の意味は分からなかったが、ようやくレイが心を開いてくれたような気がして安堵したのだった。


〜To Be Continued…〜



にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
↑読んで下さってありがとうございます!お気に召しましたら、ポチっとお願いします♪


Return <<

テーマ : 自作BL小説 - ジャンル : 小説・文学

Primrose Way (完結) | Comment(2) | Top ▲

Primrose Way act5

►2007/10/05 20:00 



>> ReadMore
 アーサーがレイのもとを訪れてから数日後、今度は大きな衣装箱が届けられた。もちろん送り主はアーサーである。
 高級な仕立てであることが一目で分かるジャケットやドレスシャツ、または靴やベルト、ハンカチに至るまで一揃えの服飾品が何の予告もなしに送られてきたので、レイは驚くばかりだった。しかも、それらと共に美しい金細工の封筒に入れられていたのが、カーネギーホールで上演されるマリオ・パバロッティーの「椿姫」のチケット、しかもボックス席である。マリオ・パバロッティーといえば世界でもっとも有名なテノール歌手として有名で、彼の公演のチケットは入手困難と言われている。
 パバロッティーは大変魅惑的であったが、レイにもプライドはある。ここであっさり誘いに乗るのも彼の思惑通りになるようで癪だった。


 行かないと決めていたので、その日アーサーが再び訪れた時は当然いつもの崩れたカジュアルスタイルのままだった。
「早めに来て正解だったな」
 と、アーサーがぼやき、
「着替えてくれ」
 一方的な強引さでそう言い放った。
「行くなんて言ってない」
 素気なく応えてやると、アーサーはそんなレイを鼻で笑った。
「きっと終わるころには私に感謝しているさ。さあ、行こう」
 腕を引かれ、無理やり部屋から連れ出されてしまった。
「あ、でもチケットが…!!」
「君に渡したのはコピーだ。…君に預けておくと紛失は免れないからね」
 腹立たしいが、否定もできない。どこまでも抜け目のない男に呆れつつ、レイは渋々ながらアーサーとのコンサートを楽しむことにしたのだった。


 服をまた新たに買いそろえ、ヘアースタイルもセットされてあっという間にレイは元の姿が想像できないほどの麗人へと変貌する。
「後でこの代金はちゃんと返すからね」
 この程度の出費で痛む様な財布ではないことは分かってはいるが、レイにも男としての矜持がある。今はクラブDJの収入しかないレイにとっては相当な金額だったが、楽曲を提供したアルバムが発売されればいくらかまとまった額の金が入ってくるはずだった。
「これしきのこと、いかほどでもない」
 と、あっさり言われると尚更レイはムキになる。
「絶対、返すからね!!」
 頬をふくらませて憤るレイを見て、アーサーは毛を逆立てて怒る猫を想像し、内心可笑しくてたまらなかったのだが、それを言えばさらにレイの機嫌が斜めになってしまうことは目に見えていたので、
「ほら、7番街に入ったぞ」
 話題を逸らしてレイのご機嫌をうかがう。
 二人を乗せた車はカーネギーホールのある57ストリートへと向かっている。
 やがて、視界に飛び込んできた音楽の殿堂にレイのご機嫌は早速急上昇だ。
「すごい、カーネギーだ…」
 目を大きく見開いて、キラキラと輝かせている様はやはり子供のようだ。
 この表情を見れただけでも、苦労してチケットを取った甲斐があったとアーサーは思わず笑みを浮かべたのだった。


〜To Be Continued…〜



にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
↑読んで下さってありがとうございます!お気に召しましたら、ポチっとお願いします♪


Return <<

テーマ : 自作BL小説 - ジャンル : 小説・文学

Primrose Way (完結) | Comment(0) | Top ▲

Primrose Way act6

►2007/10/06 20:00 



>> ReadMore
「パバロッティ、すごかったね!!もう、最高!!」
 行くのをあんなにも渋っていた人間とは思えないほど、コンサート後のレイの興奮はいつまで経っても冷めることはなかった。カーネギーを出てからずっとレイはこの調子だ。
 一旦こうなってしまうとレイの躁状態はしばらく止まらない。
「パバロッティのアルフレッドも良かったけど、ヴィオレッタも良かったよね!!」
 コンサート後に食事をとったレストランでもこの調子で、芸術に疎いアーサーは閉口気味だったが、心配していた過去のわだかまりは一時的にせよ忘れているようだった。
 それが最大の目的であったアーサーの目論みは成功したと言ってもいいだろう。
 食事を済ませた後の移動の車中では、レイが「椿姫」で最も有名なアリア「乾杯の歌」を鼻歌で歌っている。最高のオペラを鑑賞し、腹も満たされ、上機嫌である。
「お気に召していただいたようで、よかったよ」
 アーサーのそんな言葉に、レイがようやく現実に引き戻されたようにハッとした表情になる。
「うん、本当にありがとう。誘ってくれたのに、行かないなんてごねたりしてごめんね」
 アーサーの下心など露知らず、レイが素直に謝ってみせる。
 まるで一年前に戻ったかのような、そんな錯覚に陥りそうになる。まだ幸せだったあの頃のように、レイがアーサーに向ける視線には親愛の情が込められているように思える。
「いいさ。君の喜ぶ顔が見られて嬉しいよ」
 そう言うと、レイは戸惑いながらもやはり優しい笑みをアーサーに向けてくる。
 過去の諍いなどまるでなかったかのように。
 そんな表情をされると、誤解したくなる。
 まだそこに、自分への愛があるのではないかと。
「今日は楽しかった。誘ってくれて本当にありがとう」
 レイはまるで気が付いていないようだった。
 …車が自分のアパートとは逆方向に走っていることに。
「礼を言うのはまだ早いんじゃないのか?」
 アーサーの含みのある言葉にレイは小首をかしげる。
「まだどっか連れてってくれるの?」
「私はまだメインディッシュを食べていない」
「え?さっき食べたじゃない。子羊の…なんだっけ?」
「メインディッシュは私の目の前にいる。…君だよ」
 アーサーがセクシーに微笑んでみせると、レイはようやくその意味を把握したらしかった。
「ええ〜!?やだよ、帰してよ!家に帰して!!」
 とたんに不機嫌になったレイの腕をつかみ、自分へと引き寄せる。
「せっかくニューヨークくんだりまで海を越えてきたんだ。自分の用が済んだから、『はい、さようなら』では冷たすぎるんじゃないのか?」
「…そんな。そりゃ、そうだけど」
 レイはすっかりアーサーの戯言に言いくるめられている。
 そしてアーサーはまるで下心などないかのような紳士然とした口ぶりで言った。
「じゃあ、朝までつき合ってくれるね?」
 レイの柔らかな耳たぶを優しく愛撫しながら囁くと、レイは困り顔になりながらも渋々といった様子で頷いたのだった。


〜To Be Continued…〜



にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
↑読んで下さってありがとうございます!お気に召しましたら、ポチっとお願いします♪


Return <<

テーマ : 自作BL小説 - ジャンル : 小説・文学

Primrose Way (完結) | Comment(0) | Top ▲

Primrose Way act7

►2007/10/07 20:00 

  

>> ReadMore
 一度許してしまえば、あとはなし崩しだった。
 それからアーサーは理由をつけてはわざわざ海を越えてレイに会いに来た。
 ロマンチックな夜景や、最上級の料理のあとはお決まりのようにアーサーはレイを抱いた。
 レイとて本意ではないが、アーサーの情熱の前では気押されるばかりで、毎回のように口をつく拒絶も逢瀬を重ねるたびに弱々しいものになっていった。
 そしてアーサーも、レイが過去の出来事を全く根に持っていないことをいいことにこのまま復縁しようと目論んでいた。
 そのためにデートの場所は一般客の目に触れないVIPルームや、フロントを通らなくてもいい要人専用通路があるホテルなど様々に気を使い、マスコミに気取られないように細心の注意を払っているのだ。
 レイの心が戻るのは時間の問題だとアーサーは思っていた。
 …その事実がレイに知られるまでは。


 レイは、夜のクラブでDJの仕事を手伝う以外は昼間、作曲活動に没頭する生活を送っていた。そして今は、アメリカのポップミュージックをリードするローレン・キーズのニューアルバムの制作スタッフの一員として働いている。アルバムにレイの楽曲が一曲だけ使われることになり、レイはこれを足掛かりに更なる飛躍を目指していた。
 そんな時、ローレン・キーズの所属するレコード会社のスタッフに話があると言って呼び出された。わずかな期待を込めて、レイはその場に向かう。
 しかし、その内容はレイの期待を見事に裏切るものだった。
「レイ、あなた何か仕出かしたの?」
 女性スタッフのその言葉に、レイはきょとんとするしかなかった。
「あなたのことはね、実は業界では有名なのよ。見た目はイマイチだけど、曲は最高のものを作るヤツがいるって。ローレンもね、あなたのことを買ってるのよ。一曲と言わず、あと数曲あなたに任せたいって言ってるの」
 それはレイにとって願ってもない申し出だった。しかし、次に出された言葉にレイは唖然とする。
「でもね、あなたを採用するなと上から圧力がかかってるのよ。うちのレコード会社の筆頭株主が『IBC』なんだけど、そこらへんかららしいのよね」
 とたんに、レイの顔から血の気が引いていく。
 まさか、という思いは次の言葉で明確になる。
「うちの上層部の方に直接、アーサー・ギルフォードから電話があったっていう噂よ…」
 嘘だ、と言いたかった。
 まさか、彼がそんなことをするはずがないと。
 アーサーがそんなことをする理由がレイにはまったく思い当たらなかった。
「あなた、一体何をしたの?このままじゃ、あなたを使うわけにもいかないのよ。トラブルなら自分で解決してちょうだい。いいわね?」
 女性スタッフの声が遠くに聞こえ、彼女が目の前から去ったこともしばらく気がつかなかったほどだった。
 今までの懸命なレコード会社への持ち込み活動がなかなか実を結ばなかったのがアーサーの所為なのだとしたら、それは決して許されることではない。その地位を利用して、自分の夢を邪魔する理由が何なのか、問い質さなければならなかった。
 レイはすぐさま携帯電話のメモリーを押す。
「アーサー、会って聞きたいことがあるんだけど…」
 レイのその言葉で、アーサーが嬉々として駆け付けたのは次の日のことだった。


〜To Be Continued…〜



にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
↑読んで下さってありがとうございます!お気に召しましたら、ポチっとお願いします♪


Return <<

テーマ : 自作BL小説 - ジャンル : 小説・文学

Primrose Way (完結) | Comment(0) | Top ▲

Primrose Way act8

►2007/10/08 20:00 



>> ReadMore
 指定したホテルに先に入っていたレイの顔を見てアーサーは、「君に会いたかった」などという嬉しい理由で呼び出されたのではないことを悟った。
 レイはまるで責め立てるような目つきでアーサーを見ていた。
 何か問いたげにじっと見つめてくるレイからは、甘いムードなど欠片も感じられない。
「どうしたんだ?随分とご機嫌が悪そうだが」
 開口一番、アーサーがそう言うと、レイが意を決したように口を開く。
「…レコード会社に、口添えしてたって本当?僕を使うなって言ったの?」
 レイにそれを知られてしまったことに、アーサーは内心舌打ちをする。
 だが知られてしまった以上はしょうがない。
 アーサーは開き直る作戦に出た。
「言ったさ。だが、それも君のためだ。悪く思わないでくれ」
 アーサーの一方的な言葉はレイの感情を逆なでしたらしい。
 普段は温和で怒ることのないレイが、めずらしく興奮した様子で身を乗り出す勢いで話し始めた。
「僕のため!?君は僕のためと言いながら、僕の邪魔をするのか!?僕がこの一年、どんなに必死にがんばってきたと思っているんだ!!」
「それが何だ。努力など結果が出なければ意味を為さない。つまり、君の努力はこれまでも、これからも無駄というわけだ」
「誰が無駄にしたんだ!!どんな権利があってそんなことをするんだよ!!」
 レイの怒りがついに爆発した。怒りと言うよりは、嘆きに近い。アーサーに対し、激しく嘆いているようだった。
「権利ならある。君への愛という権限がね」
「…なッ……!?」
 アーサーの言葉にレイが訝しげな顔のまま動きを止める。
 戸惑いを表す瞳は左右に大きく揺れる。
「君はもう忘れたのか?一年前、君はどんな目に会った?ホモだの淫売だのと罵られ、卵をぶつけられ、世間から軽蔑と嘲笑の的にされた。なのにまた君は表舞台に立とうとする。名が売れるようになれば、また君は同じ目に遭うぞ。それでもいいのか?」
 そう言うと、レイが挑戦的とも見れる目つきでアーサーを睨みつけてくる。レイの中の揺るぎない信念がそんな表情をさせたのだろうか。そこにいたのは紛れもなく、自分と同じ「男」だった。今まであまり意識したことのなかったレイの真実に触れ、アーサーは顔には出さず激しく動揺していた。
「そんなの、覚悟の上だ。でも、僕は僕のやり方で道を切り開く。誰が何と言おうと、実力でみんなを納得させる!いいものを作れば、みんなわかってくれる!!」
 レイの考えは甘い。そう思いながらも、その愚かさとばかりは言えない強さに目を見張る思いだった。
 …レイは強い。いや、強くなったのだろう。出会ったばかりの頃とは別人のように、強く自己主張するようになった。
 妨害をしたのは、レイに言った理由も一つだが、いつか困り果てたレイが自分に泣きついてくるのではないかという期待もあったからだ。
 しかし実際にはレイは妨害にもめげず、自力で仕事を勝ち取った。実際、アーサーが口添えしなければ、レイには仕事が舞い込んできていたはずだった。確かに、才能はあるのだろう。しかし、アーサーにとってはそのような才能は無価値だった。打ちのめされて、絶望し、自分にすがりついてくるまでまで待ってやろうと思っていたのに。作戦はレイの粘り勝ちという形で失敗に終わった。
「じゃあ、今度は君を採用するように口添えしてやろうか?みな、手のひらを返すように君に群がるだろうさ!」
 ハッと、鼻で笑ったアーサーの左頬を衝撃が襲う。
 レイがアーサーの頬を、平手で強かに打ったのだった。
 思いもよらない反撃に、アーサーはしばし呆然とレイを見やった。
 意外にもその表情は怒っていない。その代わり、深い憐れみの目でアーサーを見つめていた。
「これ以上、君を嫌いになりたくない。嫌いにさせないで」
 そう言うとレイは颯爽と身を翻して、部屋から出て行ってしまった。
 一人取り残されたアーサーには、頬の痛みと今まで感じたことのない後味の悪さが残った。


〜To Be Continued…〜



にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
↑読んで下さって、ありがとうございます♪お気に召しましたら、ポチっとお願いします♪


Return <<

テーマ : 自作BL小説 - ジャンル : 小説・文学

Primrose Way (完結) | Comment(2) | Top ▲

Primrose Way act9

►2007/10/09 20:00 

>> ReadMore
 アーサーとの半ばケンカ腰に終始した対話以降、アーサーが言っていたような急激な変化はないものの、レイの元にはポツリポツリと仕事が舞い込むようになっていた。
 ローレン・キーズのアルバムにも5曲が採用されることになり、レイはそこにアーサーの影がないことを祈りつつ、複雑な心境ながらも自分にできる最大限の能力をもって楽曲制作に取り組んだ。
 アルバムが発売されるや否や、レイの作った曲はシングルカットの話まで出るほどの好評ぶりでレイの名声は次第に高まりつつあった。
 そんな時、レイに転機が訪れた。


 ローレン・キーズのアルバムが久々の大ヒットとなり、その復活劇をドキュメンタリーにしたいとのことで、アメリカの3大ネットワークの一つ、「ACC」が取材にやってくるとのことだった。その中には、レイへのインタビューも含まれているという。
「どうしてもそれ、受けないといけませんか?」
 確認を取るようにレイが問うと、スタッフが当然だと言わんばかりに笑う。
「当り前だろう?レイがいなかったら、アルバムだってこんなに売れなかっただろうさ」
「そんなことありませんよ…!」
「本当のことだろ。今回のヒットの立役者は間違いなく君なんだからな。インタビューにビビって逃げるなよ?」
 重苦しいため息を吐いたレイに、スタッフがさらに言う。
「あと、その眼鏡、なんとかならないのか?経費で落としてやるからもう少しまともなヤツにしとけよ。服もな。そのヨレヨレのトレーナーもイケてないぜ」
 確かに、今のままの格好では公共の電波にのせて3億人のアメリカ国民に姿を晒すような真似はできない。
 この辺が潮時なのかもしれないとレイは思う。いや、チャンスと取るべきだろうか。今の姿を偽りとまでは言わないが、自分の中で周りを騙しているような罪悪感があるのは確かだった。
 レイはこれを転機として眼鏡と野暮ったい服装を改めることにしたのだった。


 髪を短めにカットし、眼鏡をコンタクトレンズにし、服もシンプルだが小奇麗なものに変えたレイを見て、誰一人としてあの「レイ」だとは気がつかなかった。
「え〜と、君だれ?どこかのモデルさんか何か?」
「僕、レイです。眼鏡止めたんです」
 レイがそう言うと、スタッフは驚愕の表情のまま固まってしまう。
「あの…、やっぱりダメでしたか?」
 レイの中ではやはり一年前の騒動のことが気にかかっていた。もし、あの騒動の発端となった人物と同一人物だということが明るみになり、そんな人間は使えないと言われてしまったらレイはそれも仕方ないと考えていた。何も言わず、スタッフの一員として入り込んでいたのは自分なのだから。
 するとスタッフは顔を綻ばせて、
「いいや!すごくイイよ!!」
 と手放しで絶賛して他のスタッフを呼び集めて、レイを晒しものにしたのだった。
「別人みたいね」
「なんでずっと隠してたの。もったいない」
「こっちのほうがずっといいよ。すごく綺麗だ」
 口々に褒められて、レイは委縮するばかりだ。
 中にはやはり、アーサーとの騒動を知る人物もいて、レイをドキリとさせたが想像していたような拒絶反応はなく、むしろ「あの時は大変だったわね」と慰められたほどだった。
 思いのほか、「新しい自分」が好意的に迎えられたことにレイは心から安堵したのだった。


〜To Be Continued…〜



にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
↑読んで下さってありがとうございます!お気に召しましたら、ポチっとお願いします♪


 
Return <<

テーマ : 自作BL小説 - ジャンル : 小説・文学

Primrose Way (完結) | Comment(0) | Top ▲

Primrose Way act10

►2007/10/10 20:00 



>> ReadMore
 ローレン・キーズのドキュメンタリーが放送されるや否や、「あれは一体だれ?」という問い合わせが殺到したという。「あれ」とはもちろんレイのことである。その男らしからぬ美しい容姿と、キーズが「彼は天才よ」と絶賛したことでレイの存在は全米に知られることになった。
 レイはその後メディアに出ることはなかったが、仕事はひっきりなしに入ってくるようになった。新人アーティストから、大御所と呼ばれる歌手までが、是非ともレイに曲を書いてほしいと懇願されるまでの存在になっていた。
 レイの楽曲を入れれば、間違いなくヒットする…。
 それはアメリカのポップミュージック界の常識となりつつあった。
 …レイがNYに来てからすでに二年が経過していた。


「おかえり、レイ」
 いつものように階段の手すりから身を乗り出して声を掛けてきた少女に、レイは我が家に戻ってきたという安堵感を覚えた。
「ただいま、サナ」
 ヒットメーカーとして名を馳せるようになり、それなりの収入も得るようになったレイだが、生活には何ら変化はなかった。
 相変わらず食事はマーガレットに世話になっており、住まいもこの古めかしいアパートから引っ越すことはなかった。
「そろそろ、日本に帰ろうと思うんだ」
 夕食時、そんなことを言い出したレイにマーガレットを始めとした一家全員が一斉にレイに視線を向けた。
「そんな…。どうして?」
 サナが寂しそうに視線を落とす。
「レイ、遠くに行っちゃうの?」
「ヤダ!もう遊んでくれないの?」
 子供達の言葉にレイの胸がチクリと痛んだが、
「日本に迎えに行きたい子がいるんだよ。ここでの目的はもう果たしたしね」
 そう言うと三人の子供達はシュンとして、元気をなくしてしまった。
 事情を聞いていたマーガレットは、
「そう、あの子、見つかったのね」
 と、少し寂しそうにしながらも喜んでくれた。
「クリスマスはこっちにいるんでしょ?」
 というサナの言葉は懇願に近い。今更ながら、皆に愛されていたんだと気がつき心が締め付けられるような切なさを感じた。
「うん、色々準備があるから日本に行くのは来年になるね」
やだよ〜、と駄々をこねる子供たちにレイは「絶対に会いに来るから」と微笑む。それは、その場しのぎの言葉ではなくレイはこの子供達を自分の弟や妹のように思っていた。
 そんなレイの心を代弁するように、マーガレットが言った。
「いつでも帰っていらっしゃい。あなたはこの家の四番目の子供なんだから」
 マーガレットのその言葉に、思わず泣きそうになってしまったレイであった。


〜To Be Continued…〜



 にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
↑読んで下さってありがとうございます!お気に召しましたら、ポチっとお願いします♪


Return <<

テーマ : 自作BL小説 - ジャンル : 小説・文学

Primrose Way (完結) | Comment(2) | Top ▲

 | Blog Top |  Next»»

ブログ内検索


RSSフィード

  • 最新記事のRSS
  • 最新コメントのRSS
  • 最新トラックバックのRSS

リンク

  • 星歐花様:「小悪魔&天使のウェーブ☆」
  • 古田様:「月夜の晩に…」
  • 古田様:「星降る夜に…」
  • 日向夏姫様:「DRAGON GATE」
  • 遠麗様:「BL Break 100%」
  • 遠麗様:「BL Daybreak」
  • ジェイムス李様:「Masquerade」
  • バクテリア王国談話室
  • Chaos Paradise R18様
  • BL☆Search様
  • FC2カウンター

    現在の閲覧者数:

    ブログ村ランキング

    にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ

    WEB拍手

    素材WEB拍手

    ガンダム名言録

    うちのコです。

    By FC2ブログ

    今すぐブログを作ろう!

    Powered By FC2ブログ

Template Designed by *Essence. Material by web material *Essence.
ホームページ アフィリエイト レンタルサーバー FC2ブログ 専門学校