恐怖のバクテリア〜バクテリア王国へようこそ〜

御厨鈴音(みくりやれおん)が勝手に作り上げた恐れるにたらぬ王国。小説とも呼べない駄文ばかりですので、読むときっと後悔します。そんなの嫌だ、という方と18歳未満の方、BLという二文字に嫌悪を感じる方は今すぐお逃げ下さい。
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御厨 鈴音

Author:御厨 鈴音
好:ガンダムSEED、00、BL、チョコ
嫌:争いごと、魚卵、カニ
属:主腐。

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行っちゃヤダ。(R-18)

►2007/08/10 01:38 

 まず始めにお断りを。本文は男性同士の性描写を含んでいます。18歳未満の方、男性同士の性描写に嫌悪を持たれる方、または(里村と玲人の絡みなんて読みたくなかったよ〜!!)という方は、ここで引き返して下さい。下の文章からR-18指定とさせていただきます。
 
 本当に、ただヤッているだけのSSです。それでもよろしければどうぞ(笑)。






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「仕事、何時くらいに終わるの?」
 寂しそうに本日何度目かの似たような質問をぶつけ、私の愛くるしい恋人はその大きな瞳に私の姿を映している。その瞳がわずかに涙で潤んで見えるのは私の思い違いだろうか。
「せっかく今日お休みなのに、雅己(まさみ)さんが仕事なんてつまんない…」
 多忙な私の恋人が珍しく土曜日に休みを取れたというのに、急な仕事が入り私は後ろ髪を引かれる思いでこうして出勤しなければならなくなったのだった。
 彼の職業はミュージシャン。世界的にも有名な音楽プロデューサーだ。クールビューティーというイメージが浸透しているが、オフでは甘ったれで寂しがり屋な子供になる。私しか知らない彼のもう一つの顔だ。
「僕も一緒に仕事場に行っちゃおうかな」
「それは駄目です」
 冗談じゃない。そんなことになったら仕事に集中できなくなる。
 今とて私は彼の下半身に視線をやらないように細心の注意を払っているというのに…。
 彼は今、素肌に私のYシャツ一枚という扇情的な姿だ。昨日私が脱ぎ散らかしたシャツをそのまま着ている。着替えることを勧めたが、私の匂いが付いてるから着替えたくないと言われてしまうとそれ以上は言えなくなってしまう。こうして男を誘うような真似をするのも無意識なので手が負えない。
 玄関まで彼は追ってきて、
「行ってきますのチューは?」
 私の首に腕を絡ませて体を寄せてきた。
 まんざらでもない私は期待に応えて、彼の花びらのような唇に口づける。
「う…ンン……」
 彼の方から深い口づけを仕掛けられて応えてやると、甘い声がもれる。私もたまらず彼の身体を抱き寄せると、腹の辺りにかすかに硬いものが当たるのがわかった。
「キスだけで硬くしたんですか?」
 耳元で囁くと、彼が小さく身震いをした。彼が私の声に弱いことは承知の上だ。音楽家の性なのか聴覚への刺激も性感につながるらしい。
「昨日あんなにしたのにまだ足りないんですか…?」
 私ももう止められない。足りなかったのは私も同じだったようだ。
 私はわざと彼の前が擦れるように腰を動かして彼の反応を楽しんだ。
「アァ…ンンン…」
 快楽に弱い彼はたったそれだけの刺激で甘い喘ぎをもらす。それでも必死に声を我慢しようと唇を引き結んで俯いている様は余計に私の情欲をかきたてる。
「ああ。シャツにシミができてますよ。いやらしい人だ。いじって欲しかったら、そこを私に見せてみなさい」
 彼が私を恨めしそうに睨んだが、快楽でうるんだ瞳で睨まれても誘っているかのような色香だ。
 彼は観念したようにおずおずとシャツのすそをめくり上げる。その下から現れたのはピンク色に色づいてすでに先端を濡らしている性器だ。すでに立ちあがりかけているそれは、愛撫を待ちわびるように私を誘う。
「触って欲しいのならちゃんとお願いしてください。どこをどうして欲しいんですか?」
 彼が羞恥にうち震えて唇をかみしめる。白い顔が瞬く間にリンゴのように赤く染まった。それでも彼が快楽に勝てないことを私は知っていた。
「…僕の、おチンチンを、こすって下さい」
 まるで子供のような幼い口調で淫らなおねだりをする。普段のクールな美貌とのギャップがたまらない。
 私はご褒美だというように口づけてやると、彼の望み通りに性器への愛撫を施してやる。
「ンッ、ンッ、フゥゥ…」
 口を塞がれているので声を上げることも儘ならず、それがまた彼の性感を高めているらしい。行き場のない快感は彼の中にわだかまっていくようだった。
「イってもいいですよ」
 唇を離すと堰き止めていた官能が迸るかのような切ない声を上げて、彼が私の手の中で達する。
「アッ、アッ、アッ、アァァァ……!」
 いくら扉が厚いとはいえ、外に聞こえてしまったかもしれない。しかし今更ベッドに移る気もしない。初めての玄関での情事に私も興奮を隠せない。
 まだ快楽の余韻に震えている彼を後ろ向きにするとシャツを捲りあげて後孔へ彼が先程放った淫液を塗りつけた。彼の嬌態に私も余裕を失くしている。一本目の指がすんなり入るとすぐに二本目の指を挿し入れた。
「やぁ、いや、そんなにグリグリしないで……!」
「痛くないはずだ…昨日だってあんなにしたんだ…」
 昨日の余韻か、いつもよりすんなりと指を受け入れているがまだきつそうだ。指の腹で彼の良いポイントを擦ってやりながら、もう片方の手をシャツの中に忍ばせて乳首を愛撫すると彼はたまらなげに腰を捩って悲鳴を上げた。
「ヒィ…ヤァァ……!……もうダメぇ、もうイッちゃうぅ…」
「痛いんじゃなかったのか?」
「早く、早く欲しいよぉ…、ちょうだい、雅己さんの…」
 壁に手をついた姿勢で振り向いて、男をねだる様は淫靡というしかなく私のなけなしの理性を奪うには十分だった。
「入れるぞ」 
 スラックスが足もとに絡まり、下着も中途半端な位置で留まっている間抜けな姿で交わることになったが彼がそんなことに気づくはずもない。彼の神経は自らを犯してくれる熱い塊に集中していた。
「アッ!アァァァ……!」
 体内に侵入をしてきてものを歓喜の声を上げて迎え入れる。彼の中は熱くぬめっていて私をきつく締めつけた。
「ウッ…、なんて締まりだ…。そんなに私を早くイカせたいのか?」
「ダメ…、もっとするの…。もっといっぱい擦って…!」
 自ら腰をくねらせて、更に深い場所に私を引き入れようとする。私はそんな彼の動きに持っていかれそうになりながら激しく腰を打ちつけて自分のペースに持ち込む。
「ヒッ、アッ、アッ、す、ごい、すごい、の…」
 もう言葉もおぼつかず、私の与える快楽のみを追っている。そんな彼の淫らな姿に満足していると、左胸からバイブレーションと機械的な呼び出し音が響く。この音に反応して彼の身体がビクリと痙攣する。内部のものもギュッと締め付けられて思わず暴発しそうになった。 
「な、何…?」
 しつこく携帯は鳴り続ける。ここで切ってもまた掛かってくることが想像できた。こんな時間に電話を掛けてくる人間など一人しか思いつかない。チッ、と舌打ちをしてスーツの内ポケットから携帯を取り出す。
「はい、もしもし」
 私は不機嫌を隠さない声で電話に出る。相手は思った通り、部下の吾一。私の出勤が遅いので掛けてきたのだろう。
 繋がったままの姿勢で、彼が不満そうな顔で睨んでいる。私は彼のそんな可愛い姿にいたずら心を刺激されてしまう。前のめりになって彼の口を塞ぐと、グッと強く突き上げる。
「うぅぅぅ……!」
 くぐもった声が漏れ、彼は不意打ちを食らって背を弓なりに反らせた。さらに激しく奥をついてやると、苦しそうに首を振って否を伝えてくる。それでも私は構わずに彼を犯し続けた。
「…ああ、そうだ。今日は遅くなる。先に進めておけ」
 なおも会話を止めようとしない吾一に苛立ちながら、私の視線は彼の媚態に釘付けだった。彼は必死に声を我慢して苦しげに耐えているが、私とて行為の方に集中したい。私は強引に会話を切り上げると、携帯電話を投げ捨て彼の口を解放してやる。そして彼の細腰を両手でがっちりと固定するといっそう激しく突き上げた。
「アァァ!バカァ…!やぁぁぁ…!」
「ちゃんと満足させてやる…!」
「やぁぁ、も、イッちゃう、イッちゃう、アァァァ…!」
 彼が白濁を吹き上げるのと同時に彼の中もそれに呼応してビクビクと痙攣する。私はその刺激に逆らわずにそのまま中に欲望を打ち込んだ。私が最後まで出し切って肉棒を引き抜くと、彼はその感覚にまで感じて微かな声を洩らす。彼の入口はまだ口を開けたまま私の放ったものをだらしなく垂れ流した。そして彼はまるで生まれたての小鹿のように足を震わせて、倒れそうになったところを私は慌てて抱きとめる。その重みを幸福な思いで受け止めながら、2ラウンド目は後ろから座位でやろうと心に決めた。


  〜END〜 


※WEB拍手お礼SSから。










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行っちゃヤダ。part2 (R-18) 

►2007/08/12 23:00 

 まず始めにお断りを。本文は男性同士の性描写を含んでいます。18歳未満の方、男性同士の性描写に嫌悪を持たれる方、または(里村と玲人の絡みなんて読みたくなかったよ〜!!)という方は、ここで引き返して下さい。下の文章からR-18指定とさせていただきます。
 
 本当に、ただヤッているだけのSSです。それでもよろしければどうぞ(笑)。






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 私は彼を後ろから抱き締めて荒く乱れた呼吸を整えている。腕の中の彼も私に体を預け、快楽の余韻にひたっている。二人とも床に足を投げ出してぐったりとしていた。
「ねえ、もう行っちゃうの?」
 頭を肩に擦りつけて甘えた声で訊いてくる。
「行ってほしいんですか?」
 わざと意地悪な口調で言うと、
「ヤダ。行っちゃヤダ」
 即答して私の手に指を絡ませてくる。
「…も一回したい……」
 恥ずかしそうに声を震わせて言うので、私の体にも再び火がともる。
 彼の誘いに私が抗えた試しはない。そもそも抗うつもりなど端からないので、私も大概彼には骨抜きにされているということだろう。
「いいですよ」
 後ろから口づけると、すぐ吐息に甘い喘ぎが混じるようになる。そして膝を擦り合わせてもじもじしはじめた。
 私は彼のシャツのボタンを全て外すと右手は乳首を、左手は性器をいじってやる。どちらもすでに硬くなっていて、性器からはすでにぬるついた透明な液体が分泌されていた。
「アア…ン、またイッちゃうぅ…」
 一度に二つの性感帯をいじられて、背中がのけ反るほど感じている。彼の痴態に煽られて私もまた欲情してしまう。
「なんて淫乱なんだ、あなたは…」
 わざと辱めるような言葉を使っても、
「あん…だって…」
 彼はますます興奮するのだ。
「ね、背中になんかあたってるよ?ア、も、かたい…」
 彼が何かを求めるように腰を揺らすと、私の硬くなったものが背中に擦りつけられる。次第に彼はその行為を故意にするようになった。
「もう入れて欲しいんですか?」
 余裕ぶった言い回しをしても息が乱れているのは隠しようもない。早く彼の中に入って思うさまにかき回してやりたかった。
「ン、もう欲しい…、雅己さんのおっきいアレ入れて…?」
 恥ずかしい言葉を口にして、彼は自ら四つん這いになりシャツをめくり上げて肉孔を見せつけた。そこは待ちわびるようにヒクヒクと収縮を繰り返し、淫らに蠢いている。私は唾液で指を濡らし、何の予告も無しにズブリと突き立てた。
「ヒィッ!アア……」
 入口は慎ましく口を閉じていたが、中は先ほどの余韻を残し熱く柔らかい。抜き差しすると潤滑に使った彼のものと私が中に放ったものが混じり合って、グチョグチョとぬかるみのような音を立てる。
「ああ、すごいな…」
 珊瑚色の内壁がめくれて見え隠れする様はひどく淫猥な眺めだった。今回はもっと焦らしてやろうと思ったのに、そんな淫らな光景と音に私に早くも限界が訪れてしまったようだ。
「ゆび、もいいから…、早く…」
 私は彼のおねだりに応え、彼の腰を引き寄せると入口に肉棒をあてがう。
「ゆっくり腰を下ろすんだ」
 亀頭が入ってしまえばあとは楽だった。急いた彼は一気に腰を下して付け根まで挿入してしまった。私は当初の企み通り背面座位の体系をとる。
 彼のひざの裏を持って足をV字に広げさせると、奥まで入ったと思っていたものがさらに深くまで入り込む。
「やぁぁぁ…ふかい……」
「奥に当たってイイだろう?」                    
 突き上げるテンポに合わせて彼が短い悲鳴をあげる。
「ア、イイ、すご、イイ…!」
 深く挿し入れたまま腰を回すと、彼は背中をのけ反らせて身悶える。
「アァァァ、もおダメだよぉ…、とけちゃう…っ!!」
「どうして欲しい…?」
「突いて、もっとおくまで突いて…!」
 リクエストに応えるべく、私は彼の足を腕でがっちり固定すると激しい突き上げを開始した。
「アアアァァァ!やあぁぁぁ……!」
 ほとんど泣き声のような悲鳴を上げている。舌を噛まないか心配になるほどの悶えようだった。しかし、この体位の欠点は彼のこの悶絶している顔が見られないことだ。
「またイクッ、イッちゃう……!」
 そう言って彼はそのまま一人でイってしまった。
 彼が放出し終えるのを待って、次は体を裏返し正面から挿入する。そして今度は私自身が極めるために容赦なく彼を突き上げる。
 彼が快感に浸りきった虚ろな目で私を見上げ、半開きの口からひっきりなしに喘ぎ声を上げているのを見て満足している私はきっと少しおかしくなっているのかもしれない。美しい彼をここまで乱したのが自分だと思うと誇らしい気持ちにすらなるのだ。
「顔に出すぞ…っ!」
 絶頂の予感を感じた私は勢いよく肉棒を引き抜くと、彼の顔めがけて精液を吐き出した。彼の綺麗な顔が私の欲望で汚される姿はゾクゾクするほど美しい。
 精液を頬に塗りつけてやると、彼が舌を伸ばしてきた。私の精液のついた親指を舐めさせると、ミルクを舐める子猫のように音を立てて美味しそうにしゃぶっている。
  

 すでに太陽は一番高い位置まで上がっていた。


〜END〜




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Love Travelers

►2007/09/26 23:00 

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「ここが京都…?」
 伝え聞いていたイメージとはまったく異なる近代的な建物にアーサーはある意味拍子抜けしていた。まさかアーサーとて、サムライがいるとか写真で見たような城や神社仏閣が乱立しているとは思っていなかったが、あまりに想像とかけ離れた、剥き出しの鉄筋とガラス張りの駅舎は日本の古都の玄関口としては似つかわしくないとアーサーは知らず知らずのうちに眉間にしわを寄せていた。
 アーサーのそんな心を察したのか、レイがふんわりとほほ笑む。
「京都駅は最近できたばっかりなんだ。モダンだよね」
 レイのフォローでアーサーの心も少し穏やかさを取り戻し、着いて早々に旅の楽しい雰囲気を壊しかけたことを反省した。


 レイの故郷が日本の古都として有名な京都だと知ったとき、アーサーは是非行ってみたいと思うようになっていた。ガルストンにスケジュールを調節させ、レイの仕事とも照らし合わせて、ようやく三泊四日の旅行が実現したのだ。
「それじゃあ、まずは旅館に荷物を置きにいこうか」
 日本語はまったくわからないアーサーにとって、今のレイは非常に頼もしい存在だった。
「ああ、そうしよう」
 アーサーはいつもより大人びて見えるレイを眩しい思いで見つめた。
 到着したその日は長旅の疲れもあって、旅館の辺りを散歩しただけで本格的な観光は翌日からとなった。


 そしてその日は絶好の観光日和となった。
「普段の行いがよかったんだね」
 とレイが言い、大事な日に晴れるのは神様からのご褒美だと教えてくれた。
「そうか。ではイギリス人は普段の行いが余程悪いらしいな」
 アーサーが皮肉を言うとレイが困ったように、
「あくまでも日本の話だってば!!」
 と慌てて否定する姿が可愛い。
 アーサーはレイの細い腰を抱き寄せると、その愛らしい唇についばむ様なキスを降らせる。
 顔を赤くしたレイにアーサーは、
「さあ、行こうか」
 浮き立つ心そのままの声でそう言った。


 まずは一度京都駅に戻り、運転手が観光案内をしてくれるというタクシーをチャーターした。
 50歳代と思われる運転手は非常に饒舌で、日本語でレイと何やら話しては笑っている。
 日本語がわからないアーサーは、取り残されているようで気分が悪い。
「何を話しているんだ?」
 アーサーが訊くと、レイは笑いながら、
「コースのことでね。三十三間堂の後、二条城に行って、次は銀閣寺なんだけど、絶対に金閣寺はその後の方がいいんだって」
 と言う。金閣寺はアーサーが見てみたい建築物の候補に挙げられていた。京都で最も有名な寺の一つだ。
「どうして?」
「ふふ、それは見てからのお楽しみだよ」
 いたずらっこのような笑顔でレイは笑い、アーサーはますます愉快ではない。


向月台と銀閣寺
金閣寺

「もともとは銀閣寺にも銀箔が貼られる予定だったらしいよ。予算の関係でできなくなってしまったんだて」 
なるほど、銀閣寺はその名に「Silver」とあるにも関わらず、金閣寺のように銀が貼られているわけではないのだった。確かに、金閣寺に比べれば見劣りする。
「レイ、あれはなんだ?」
 しかし、アーサーにとっては他にも瞠目すべきものがたくさんあった。
 砂で台形型に美しく整えられたのものを指さす。
「あれはね、向月台(こうげつだい)というんだよ」
「何の為に高く盛ってあるんだ?あの形状に意味はあるのか?」
 レイはガイドの運転手に説明を受けながら、それを丁寧に訳してくれる。
「向月台は銀閣寺を照らすための天然の照明なんだって。あの砂は特殊な砂で、雪と同じくらい光を反射するそうだよ」
「ほう。なるほど」
 アーサーが「Fantastic」と呟くと、ガイドの男が嬉しそうに「Thank you,Thank you」と繰り返す。
 レイと顔を見合わせると、「自分の生まれ故郷を褒められて嬉しいんだよ」と笑う。
 その気持ちは理解出来なくもないので、アーサーはそのあとに見た様々な遺物でも素直に感想を述べた。
 レイやガイドの笑顔を見るのも満更ではないアーサーであった。


清水寺

 観光二日目は清水寺へ向かった。
「すごい人だな」
 同じデザインの黒い制服の少年少女達がわらわらと群れているのを見て、アーサーは思わず呟く。
 外人がめずらしいのか、二人の麗しすぎる容姿の所為なのか、先ほどからジロジロと遠慮のない視線を向けられて非常に居心地の悪い思いをしていた。
「有名な観光地だからね。学生たちが見に来るんだよ」
 息を切らせながら、レイが説明してくれる。
 アーサーは平気だったが、レイにはこの登り坂がきついらしい。
 それとも、昨夜の激しい情交の疲労がまだ残っているのかもしれない。
「抱き上げてあげようか?」
 昨夜のことを踏まえて悪戯な口調でアーサーが言うと、レイは顔を真っ赤にして、
「いいよ…!頑張って歩くから…!!」
 どんどん先に進んでいく。
 いつまでその体力が保つかな、とアーサーは笑いながらその後ろ姿を追った。
 清水寺の舞台の見晴らしの良さを堪能した後は、レイの希望で街に降りて散策することにした。


「わーい!辻利だ!」
 アーサーも食べる?と問われて、いつもは甘味を食べないアーサーも折角だからと一つ手に取った。
 それは深い緑色をした奇妙な形のアイスクリームであった。
「濃い〜〜〜!やっぱ辻利は美味しいな〜♪」
 レイの真似をして舌でそれをすくい取ると、香ばしい緑の香りが口の中に広がる。
「アーサー、美味しい?」
 と問われて、アーサーは頷く。
「これなら食べられるな」
 嬉しそうにレイが笑って、その笑顔を見てアーサーも嬉しくなる。
 愛する人と同じ経験を共有するということが、こんなにも嬉しいことだとは知らなかった。
「ね、あっちに行こう?」
 アーサーの手を取ってレイが歩き出す。
 その手の優しいぬくもりが、アーサーの胸をも温かくした。


「何だあれは?」
 橋の上に差し掛かった時、川沿いに広がる奇妙な光景にアーサーの足が思わず止まる。
 川沿いの土手にはカップルらしき男女が、きれいな等間隔で並んでいる。
「ああ、あれはね鴨川名物なんだ。カップルはあそこで愛を語り合うんだよ。素敵でしょ」
 それを聞いてアーサーが黙っているはずがない。
「私たちも行こう」
 レイは渋ったが、アーサーがどうしても行くときかなかったので、二人は土手へと降りて行った。
「この間隔には規定があるのか?」
 アーサーが大真面目な顔で訊くと、レイがプッと吹き出した。
「ないよ。ないけど、みんなきれいに間隔をあけてるんだよ」
 ちょうどひと組のカップルが去ったので、二人はそこに腰掛けることにした。


「…ちょっと、くっつき過ぎじゃない?」
 もじもじと居心地の悪そうにするレイを、アーサーはさらに抱き寄せる。
「他の恋人達はもっと密着しているだろう?」
 アーサーに他のカップルに対して対抗心が芽生えているらしい。
 レイの背中に回された手にも力が入る。
「だ、だって上から見てるし…!」
「気にしなければいい」
 イギリスでは人目が多すぎて、外でこの様なことをしようものなら騒ぎになりかねない。
 日本で顔をあまり知られていないアーサーは、今はただのハンサムな外国人である。
「…アーサー、楽しそうだね」
 諦めたように脱力してレイが呟く。
「ああ、とても」
 滅多に見ることのないアーサーの満面の笑みに誘われて、レイも笑顔になる。
「ならいいや」
 そう言ってレイはアーサーの肩に頭を預ける。
 レイからの積極的な接触に、それだけでアーサーの身体が熱くなる。
「レイ…」
 顔を上向かせてその唇にキスを落とす。
 さすがにディープな口接は控えたが、それでも十分レイは恥ずかしかったらしく、顔を真っ赤にして俯いてしまった。
「…バカ」
 小さく呟かれたその言葉が愛おしくて、アーサーの手にますます力がこもった。


 …その日の夜は前夜にまして激しい一夜になり、次の日レイが起き上がれなかったのは言うまでもない。


 ☆おわり☆


【ブログ主の追記】
 
 この小説はWEB拍手お礼SSを手直ししたものです。
 今年の一月にブログ主が京都に旅行した時の写真も添付しました。
 クリックすると大きいサイズの写真が見られます。
 あまり天気がよくなかったので少し暗いですが、雰囲気は掴めると思います。
 鴨川の等間隔カップルの写真も撮りたかったのですが、季節が季節なだけに寒さに耐えてまでいちゃこらするカップルは居なかったようです(笑)
 辻利の特選抹茶パフェは美味しかったな〜♪




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セリフSS企画〜SWEET PAIN〜 (R−18)

►2007/11/18 00:00 

bara126.jpg







 ホントに綺麗なイラストですね…。何度見てもため息がでます…(*^。^*)
 今回はこのような素敵なイベントに参加させて頂き、とても光栄でございます☆
 『小悪魔&天使のウェーブ☆』の星謳花さまの企画で、『Kanata Works』のかなたさまの麗しいイラストにみんなでSSをつけよう!!というものです。
 星さまから「エロOK」とのお知らせがありましたので、これは「書いてね♪」ということだと思い(勘違い)、当初予定していなかったR−18記事を書かせて頂きました。
 設定は鬼畜年下攻め(上のコ)×M体質年上受け(下のコ)って感じです。
 短いですが、お楽しみ頂けると幸いです。









   「SWEET PAIN」



 「ほら、これ」

 「………。ありがとうございます。覚えていて、下さったんですね」

 「当り前だろう。お前の誕生日くらい」

 「いえ。私の、好きな薔薇……」

 「……ああ。好きだろう、あんた。その薔薇」

 「ええ。『クリムゾン・グローリー』。私の、好きな薔薇です」

 「おい。あんまり触るなよ」

 「なぜです?貴方から頂いたものを存分に愛でたいのですが……?」

 「棘であんたに傷がつく」

 「平気ですよ。それくらいの痛みなんて……。血、お好きでしょう?」

 「俺以外があんたに傷をつけるのは許さない」

 「……フ。嬉しいですね」

 「何が可笑しい」

 「貴方は分かってらっしゃらない」

 「何が」

 「痛みは貴方から与えられるから意味があるのです」

 「……」

 「それ以外の痛みなど、私には何の意味も無い」

 「……馬鹿だな、あんた」

 「そうかも、しれません」

 「……あんたには、赤が似合う」

 「最高の褒め言葉です」

 「今度はここに……」

 「……あっ!!」

 「俺の所有の証をつけてやる」

 「……貴方の、お望みのままに」






 これより先、18歳未満お断りとさせていただきます。
 男性同士の性描写に嫌悪感を持たれる方も、お引き返しください。






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 「……挿れるぞ」

 「……ヒィ…アァァァ……!!」

 「まだ、きついな」

 「大丈夫、ですから……、動いて……」

 「馬鹿、煽るな」

 「ああ……、奥に、貴方が、居る……っ」

 「動くな。まだ、馴染んでない」

 「痛くても、いいから……。壊れても、いいから……っ!!して、下さい……!!」

 「あんたは、どうして……!!」

 「アアッ!!ひい……ッ」

 「痛みを、与えてやる、俺が……」

 「ください、もっと……っ」

 「俺しか、感じられなくなるように……」

 「ああ……イイ…、貴方を、かんじる……」

 「あんたは、痛みを感じている時が、一番、綺麗だ……」

 「ああ……嬉しい……」

 「俺に抱かれて、死ねばいい……」

 「殺して……。貴方が、ころして……」



   <END>




 

 
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SS「MELT SNOW」

►2007/11/30 20:00 

 次回連載「Love Paradox」の予告篇のようなものです。

 ではでは、PUSH!READ MORE!

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 静かに咀嚼をする目の前の美人は、自分の手元と里村の顔以外に視線を逸らさない。
 二人の間に聞こえる音といえば、皿とナイフやフォークがぶつかり合う、カチカチという音と、空々しいクラシック音楽のみで会話といえる会話はほとんどない。食事の間に交わされた言葉は、ほとんどが相手から発せられたものであり、里村はろくな返事もできずにいた。
 キャッチボールは全て里村が取り落とし、成り立たない状態である。
 そんな里村に気を悪くする様子もなく、目の前に座っている美人は微笑すら浮かべている。
 その、小作りな顔のわりに大きな縦長の綺麗な瞳が、里村を確認するたびにふと緩み、優しい色を滲ませているのを見ると、里村の心臓は急にテンポを上げる。
 そんな調子なので、里村の皿はなかなか減らない。口に運ばれていくものも、ろくに味などわからない。食が進まない代わりにワイングラスばかりが空になる。
「ワイン、美味しいですか?」
「は、は?」
「ワイン」
「は、はぁ…」
 ナプキンで額を拭って、里村は意味のない咳払いをする。
 気の利いた言葉の一つも言いたいところだが、焦りばかりが先立ち頭の中はすでに混乱状態で目を合わせることすらできない。手元も覚束ない里村は汗拭きと化していたナプキンを床に落としてしまった。
「あっ」
「あ…」
 同時に、二人が反射的にそのナプキンを拾おうと手を伸ばし、二人の指先が宙で触れあう。
「…っ」
「……」
 その瞬間、触れ合った場所から今まで感じたこともない甘いしびれが走り、里村を驚かせた。
 テーブルの下で、二人の間に妙な間が流れ、里村は自分の混乱を誤魔化すようにナプキンを掴み寄せ、居住まいを正し、そしてまた意味もなく咳払いをする。
「あのね、今」
「は…」
「今ね、指に電流みたいのが走ったんだよね。ビリビリって」
「……」
 自分も同じだった、とは言えなかった。


 楽しむ間もなく食事が終わり、店の外へ出ると、突き刺すような冷気が里村のアルコールで火照った顔をちょうどよく冷ましてくれた。
 しかしちょうど良かったのは里村だけであったようで、隣を歩く人の肩は錨型に引き上げられている。
「さ、寒いね。僕もコート着てくればよかった」
 里村は自分のコートをその肩に掛けてやりたい衝動に駆られていたが、そんな馴れ馴れしいことが里村にできるはずもない。かといって、この寒さでこの人に風邪でもひかせてしまったら、と里村が一人で葛藤していると、視界を白いものがよぎった。そして頬に冷たい感触。
「わぁ、雪だ……」
 その言葉でそれが雪だとようやく気付く。
「めずらしいね、東京で雪なんて。初雪かな…」
 わずかに前を歩く人の、後ろ斜め横顔が、雪を眺めて嬉しそうに微笑んでいる。
 その美しい横顔に見惚れ、里村の理性がわずかに緩む。
 飲み過ぎていたワインの所為かもしれなかった。里村はその時、何も考えずに動いていた。里村は自分のコートの前身にその人を抱き込んだのである。
 腕の中の人が、はっと息を飲んで身体を強張らせたのが分かる。それを感じ取って里村はようやく、自分のしたことの意味を知る。
 しかし一度ホールドしてしまった形を崩すこともできず、里村も固まったまま沈黙の時間が流れていく。里村にはそれが永遠のように長く感じられた。
 実際にはほんの数分経った頃、腕の中の人が深く息を吐き出した。大きな白いかたまりが、作られたそばから立ち消えていく。
 その表情は見えないが、やはり微笑んでいるのだろう。
 嫌悪する素振りを示されなかったことが何より里村を安堵させた。
 しばらくして腕の中の人が身じろぎをした。離れるのだろうかと思ったのは間違いで、振り向いて身体を向かい合わせで抱きついてきたのである。
 里村の心臓が、今日一番の速さを記録した。
 それでも里村は、抱きしめた人が寒くないようにと、ぎこちなくその背に腕を回す。
「あったかい…」
 自分の頭のすぐ下から声がした。コートの下のスーツ越しに腕の感触。抱きしめている人の体温を里村も感じることができた。
 …この人をもっと知りたい。もっと感じたい。
 知ったら、もっと好きになるだろう。もっと近くに感じたくなるだろう。
 急がなくてもいい、距離なんてすぐに縮まるはずだ。
 里村にはそんな予感のようなものがあった。
 顎のあたりをさわさわとしたものがくすぐっている。指を通したらさらさらと流れていきそうな柔らかい髪がすぐそこにある。
 里村はその髪の感触を唇で味わった。シャンプーのにおいだろうか。花束のような優しい香りがした。
 その髪の上に雪がひらりと舞い降りてきた。やがてそれは長持ちせず、じんわりと形を崩していく。
 胸に温かいものが広がって全身に行き届いていく。そして腕の中の人も、その頃には身体の強張りがすっかりほどけていた。


 それはまるで、雪が溶けるように……。


 <END>


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Sweet Sweet Chocolate (R-18)

►2008/07/31 20:00 

 まず始めにお断りを。本文は男性同士の性描写を含んでいます。18歳未満の方、男性同士の性描写に嫌悪を持たれる方、または(里村と玲人の絡みなんて読みたくなかったよ〜!!)という方は、ここで引き返して下さい。下の文章からR-18指定とさせていただきます。


『Sweet Bitter Chocolate』後のひたすら甘アマな二人。
ただヤッてるだけの短編です。それでもよろしければどうぞ☆







>> ReadMore
 久しぶりに過ごす二人きりの休日である。
 玲人の立場上、おおっぴらに外を出歩くことはできないとはいえ、どうにかして久しぶりにデートのようなことをしてみたいと思い、玲人に提案してみたが即座に却下されてしまった。
「外には行かない。ずっとここにいる」
 頑是ない子供のようにそう駄々をこねて、まるでそんなことを提案した里村の方がおかしいとでも言いたげな玲人に思わず笑みがもれる。
 つまりはずっと二人きりで部屋の中でイチャイチャしていたいと、そう言われたようで嬉しい。
 しかし、二人きりで三日間もの間ただ部屋の中にいるというのもつまらない。
「わかりました。ただし、そのかわり私のいうことを聞いてくれますか?」
 里村がにやりと黒い笑みを浮かべたのを、玲人は不思議そうに首をかしげて見つめた。

 「なんかこれ、スースーする…」
 玲人は恥ずかしそうにモジモジと膝をすり合わせて、前を隠そうと必死にシャツを引っ張っている。
 …今玲人はシャツ一枚だけという扇情的な姿をしている。
 もちろん下着などはもってのほかと、下肢には何も身につけさせていない。
 女性に様々なコスチュームを着せて楽しんでいる輩がいることは知っていたが、その感覚は到底里村に理解できるものではなかった。
 所詮それは偽物にすぎないし、わざわざそんな格好をすること自体滑稽に思えてしかたなかった。しかし、玲人という何を着せても似合ってしまう美しい恋人を得てからはその嗜好がなんとなく理解できてしまった。
 いつぞや玲人が里村とデートをするために女装をしてきてくれたことがあったが、あの時の大人の女を演出していたワンピース姿はとてもよく似合っていた。美しく装った玲人に女性たちは嫉妬の視線を送り、男達は目の色を変えて振り返った。
 もちろん玲人が男性であることを否定するつもりはないが、並みの女性よりも美しいその足にパンツを穿かせて隠しておくのはもったいない。とはいっても他の男に見せるつもりなどさらさらないので、誰の目にも触れない今だけは自分が観賞するためにシャツ一枚で過ごさせることにしたのである。
 はじめはもじもじと動きづらそうにしていた玲人も次第にその格好に慣れてきたのか、大胆に動き回り始めた。
 玲人が動くたびに里村の視線がその一挙手一投足を追いかける。
 玲人もそんな里村の視線に気づき、その動作が徐々に危ういものになっていく。
 後ろを向いて少し前かがみになってみたり、伸びをしてシャツを持ちあげてみたり、どう考えても里村の理性を試すような動きを見せる玲人に敗北感を覚える。
 自らの美しい肢体をちらつかせて誘う玲人はまるで小悪魔のようだと里村は思う。そして、玲人の仕掛けた罠にこうも簡単にはまってしまう自分はまさにミイラ取りがなんとやら…、である。
「…誘ってるんですか?」
 後ろから抱きすくめると、玲人が逃げを打つように身体をよじらせる。
「そんなこと、してない…っ」
 言葉では否定しても抵抗が本気でないことが肯定の証拠だ。
 自分を翻弄して骨抜きにしてしまう、この小悪魔な恋人には少しお灸を据える必要があるようだ。
「いけない人だ…」
 ソファに押し倒された玲人は、本気で嫌がっているようには聞こえない甘い悲鳴をあげた。

 チュクチュクとわざといやらしい音を立ててそれを舐めてやると、玲人はたまらず声をあげる。
 音楽を生業にしている所為なのか、玲人は音に敏感に反応する。
 里村が耳元でいやらしい言葉をささやくとびくびくと身体を震わせる。
 アナルを慣らしてやるときもローションを多めに使い、水音が立つようにかき混ぜてやると玲人はひどく興奮した。
「あ…、もうそこいやだ…っ、イッちゃうからダメ…!」
「イッていいんですよ?好きなだけ出せばいい」
 玲人が何を欲しているのかわかっていたが、里村は玲人が自分から言い出さない限り手は出さないことにしていた。
 後ろの孔で快感を得ることを覚えてしまった身体は、性器への刺激だけでは物足りないようである。
 玲人の場合、ただ前立腺を刺激すればいいというものではなく、里村に犯されているという感覚が快楽を増幅させているのだろう。
「ダメ、いっしょにイクの、まさみさんと、いっしょにイキたい…っ」
 そんな風に里村の情動に訴えかけるような言葉を言われて、里村の理性は簡単に崩れてしまう。
 玲人の足を身体につくほど折り曲げて、アナルの状態を確認するとやはり昨日の荒淫の所為でそこは赤く腫れぼったくなっていた。
 あまり無理はさせたくはないが、玲人の中を思うさま犯したいという欲求はもう止めようがなく、抑えられるものではない。
 ローションを取りに行かなければと玲人から身体を放そうとしたその時、里村の目にチョコレートの箱が飛び込んできた。
 これならば使えるかもしれないと、里村はその面白い思いつきを実行に移すことにした。
 箱の中のチョコレートはほとんど手付かずだった。見目美しいそれらを玲人は食べずに観賞しているらしい。
 チョコレートを手に取った里村を、玲人は不思議そうに見つめている。
「せっかくあなたにプレゼントしたのに食べてくださらないんですか?」
「もったいなくて、たべられないよ…。せっかくまさみさんからもらったのに、たべたらなくなっちゃう…」
 欲しいならいくつでも用意する。玲人が欲しいならほしいだけくれてやるのに、と思う。バレンタインというイベントにこじつけてプレゼントをしただけであって、玲人が喜ぶならいつだって買ってやる。
 しかし現実的に言えば玲人のほうが里村の何倍も稼いでいる。買おうと思えば玲人ならいくつでも買えるのだ。それでも、玲人は里村があげたそのチョコが特別大切なのだという。
「しかしチョコレートだって、食べないと賞味期限が切れてしまいますよ」
「うん、そうなんだけど…」
「食べさせてあげましょうか?」
 一粒手に取ったそれを玲人は当然口の中に入れるものだと思っただろう。しかし里村はそれを玲人のアナルに挿入した。
「ああっ、いや、なにっ!?」
「チョコレートは媚薬の効果もあるそうです。たぶん、すごく気持ちよくなれます」
「やだ、取って、これ取って!!」
「ほら、もう一つ食べませんか」
「ああ…んっ、やだ、こんなのやだ…!!」
 奇妙な異物感に玲人が身もだえて悲鳴をあげる。
 結局、一口サイズのものを三つ挿入してそれらが溶け出してくるのを待つ。
 時折異物を押し出そうとする襞の動きに再びチョコレートを押し返すと、奥まで届く塊に玲人があえかな声をもらした。
 しばらくすると、アナルから茶色い液体が滲みだしてきた。玲人もそれを感じるのか不快そうに身体を震わせている。
「ああこの色、卑猥ですね…」
 里村が何を連想したのか玲人には伝わったようだ。顔を真っ赤にして「まさみさんのばか!!」と繰り返している。
 今度玲人にエネマを施したいと言ったら、玲人はひくだろうか。すべての準備を自分の手で施し、排泄の瞬間まで見届けたいと言ったら玲人は絶対に嫌がるだろう。
 でも土下座くらいすればやらせてもらえるかもしれないと、里村はひそかにほくそ笑む。

 玲人はおむつを取り換えられる赤ん坊のような恰好とらされて、奥から溢れてくるチョコレートを里村に舐めとられていた。
 わざと音が立つようにそこに吸いつかれて、その音の卑猥さに涙が出る。恥ずかしくてたまらないのに、感じてしまう自分がもっと恥ずかしい。執拗に弄られているうちにそこの筋肉がゆるんで、里村の舌を受け入れてしまう。時折いたずらに性器の先端をいじられて、玲人はもう抵抗もできず喘いでいることしかできなくなった。たっぷりと唾液を送り込まれて、そこは簡単に指の抽挿を許す。二本、三本と増やされても玲人の身体は苦痛を感じない。
 むしろもっと太いもので奥をかき回してほしいと、声に出せない懇願をする。一番太い部分で感じる場所を突いてほしい。ぐちゃぐちゃに犯して、奥にいっぱい射精してほしい。
 そんな淫らな妄想をしていると、それが身体に伝わってアナルがきゅっと締まった。指を挿入している里村にそれがわからないはずがない。ふふっと笑われて、玲人は体温を上げた。
「もう欲しくなったんですか?まだ三本目を入れたばかりですよ。もう少し広げないと…」
 もう里村にはそこがどんな風なのかわかっているはずだ。なのに、自分からは絶対に挿れてはくれない。玲人に恥ずかしい単語を言わせて、玲人が恥ずかしがる様を愉しんでいるのだ。
 玲人にはそれがわかっているが、アナルの疼きはひどく、本当にチョコレートには媚薬が入っているんじゃないかと思いたくなる。
「いれて…、まさみさんの…、ほしいっ」
「私の、何ですか?入れられるものなら指でもいいでしょう?」
 いじわるな里村はそんなことを言って、ちゃんと玲人がその単語を口にするまでは挿入しない。
 普段は優しいのにセックスの時になると、スイッチが入ったようにとたんに意地悪くなる。それで玲人はいつも泣かされる羽目になるが、それが余計に自分を高ぶらせていることを自覚していた。
 卑猥な言葉を口にすると、アナルの奥がきゅんと疼いた。その言葉を紡いだ舌まで甘くしびれるようだった。
 だから玲人は里村とセックスするのがたまらなく好きだった。
 里村になら、もっといじめられたいと思う。里村になら、何をされてもかまわない…。
「まさみさんの、大きくて、太いペニス、いれて…?」
「いやらしいな、玲人さんは…」
 アナルからずるりと指が引き抜かれる。玲人は挿入の予感だけで射精しそうになった。
 間を開けず、熱く圧倒的な質量をもったものが玲人の空隙を満たしていく。里村が自分の身の内にいるという安堵が、玲人をこの上なく歓喜させる。
「きもち、いい…っ、まさみさん、すごい、の…っ」
 この充溢感をどう言葉で表現していいかわからない。もしかしたら、言葉では表しきれないのかもしれないと玲人は思う。
 でも玲人がいまこの瞬間、満たされていることを里村はきっと知っている。
「玲人さん、私も、すごく、いいですよ…」
「うん、うれし…、………いあっ、やぁっ、すごっ…い、すぐ、いっちゃ…うっ!!」
 言葉はすぐに喘ぎにまぎれて、わけがわからなくなってしまう。
 次第に玲人は、言葉など必要のない世界に突き落とされ、意識はただ快楽だけを追う。

 玲人の身体を考えて、優しくしようと思っていたことなどすぐに頭から消え去った。
 欲望の赴くまま、里村は激しく玲人を突き上げる。
 チョコレートと唾液でちょうど良くぬかるんだ秘孔は、美味しそうに里村を食んでいる。 
 目を瞑り恍惚の表情を浮かべる玲人は、淫猥でありながら清らかにさえ見えた。
「玲人、出すぞ、中に…っ!!」
「ん、ふあぁっ、あぁぁぁ…っ!!」
 一番深い位置で動きを止めてすべてを吐き出すと、玲人の内壁がひくひくと痙攣して精液を咀嚼するように動いたのがわかった。
 玲人の性器からも白濁がとめどなく流れて白い腹とシャツを汚した。
「あ…ん、すごかった…、きもちよすぎて、しんじゃうかとおもった…」
 快感にうるんだ瞳のまま、虚ろに里村を見つめる玲人はまだ半分夢の世界に行ったまま、完全には意識は戻っていないようだった。
「それは困ります。…でも、そこまで気持ちよかったなら光栄です」
 もし死ぬなら、もし玲人に殺されるなら、腹上死がいいと、そんなことを本気で思った自分を自嘲する。愛する人と、至上の快楽を得ながら召されることができたらどんなに幸せなことだろう。そんな死を迎えられるなら、今この瞬間に命が尽きてもかまわないとさえ思う。
 涙の跡を残す頬にキスを落とすと、玲人がくすぐったそうに肩をすくめて笑う。
 …でも、やはりまだ死ねない。
 日々変化していく玲人をこれからもずっと見ていたい。
 しわくちゃの老人になるまで、玲人の未来を一番そばで見守っていきたい。
「一生、愛しています…」
 チープな言葉でも、少しでも伝わってくれていればいい。
 玲人の乾いた心に、一滴のうるおいにでもなってくれればと里村は不器用に言葉を紡ぐ。
 玲人の頬に新たな涙の筋が流れ、里村はそれをやさしく受け止めるのだった。


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